「効率的な成果をあげられる小学校の英語教育」とはどのようなものでしょう?
            (2017.8.18 改訂)

ページ内リンク

英語教育を始める時期について

効率的な英語教育とは?

効率的に成果があげられると思われる、学習時期と内容

 小学校1,2年 (幼稚園児なども含む)
  正しい英語の発音に触れ、単純に英語を楽しむ時期

 小学校3,4年
  英単語の正しい読み方を覚えながら英語を楽しむ時期

 小学校5年6年
  簡単な文法を覚え、英文の意味をしっかり理解する時期


英語教育を始める時期について


 以前は、有識者と呼ばれる方々から、「英語学習より、国語学習の方が大事であり、子供たちに早くから英語を教える必要はない。英語学習は中学からで十分。」という意見も多かったと思います。しかし、教育行政の方針転換で、2020年頃から、小学校でも、英語を教科として学習することになりました。
 
 私自身は、ニュージーランドの高校生を、市内の小学生や中学生と交流させる事業や、ボーイスカウトの国際交流をお手伝いした経験から、小学生の方が圧倒的に、積極的に外国人と交流できると思っていたので、良い傾向と思っています。また、勉強が得意でない生徒や、人前で話すことが苦手な生徒は、中学からでは、英語の習得に時間がかかり過ぎると感じていました。よって、小学生から、しっかり英語を学べる環境になることは、大歓迎です。



効率的な英語教育とは?
…英会話スクールのような英会話と教科としての英語の違いから思うこと

 私が、英語塾の講師をしていた頃、「小学生の頃から英会話をずっとやっていて、英検4級も取りました!」というような生徒が、中学2年生になると、学校の英語が全くわからなくなるという実例を、数多く見てきました。どうしてこのようなことが起こるのでしょう。

 
一般的な英会話教室では、「日本語と英語の文法の違いを、あまり教えない」ということが原因であると、私は思っています。何となく英会話をしていると、何となくできるような気がする。しかし、「何となく」はあくまで「何となく」なのです。なかなか、しっかり自分で英語を話していく力は付きません。「しっかり自分で英語を話していくために必要なもの」…それが英文法なのです。

 私の生徒の中に、中学1年で英検3級、中学2年の7月に英検準2級を取得した生徒がいました。彼女は帰国子女というわけではなく、小学校5年生から英語を勉強し始めました。週に1度90分、小学5年生でbe動詞の現在形だけ、小学6年生で一般動詞の現在形だけを勉強しました。一般的な英会話スクールより、ずっと進み方が遅いと思います。しかし、これらの文法をしっかり学習した結果、中学2~3年の文法の学習をスムーズに進められ、このような成果を上げられたと思います。

 それでは、英会話スクールは無駄でしょうか。もちろん、そんなことはありません。
  1. 正しい発音が身につく
  2. 恥ずかしがらずに、英語を言えるようになる
  3. 楽しみながらたくさんの単語を覚えられる
      
いろいろな良い点があります。毎日英会話スクールに通っていたら、どんどん英語が話せるようになるでしょう。しかし、そうするには、莫大なお金がかかります。普段英語を使う機会が少ない日本で英語を勉強するのは、外国で勉強するのとは、全く環境が違います。ただ漠然と学ぶより、しっかり英文法を踏まえて勉強していく方が、日本国内で勉強するには、ずっと効率的な勉強法であると、色々な生徒を見て、教えてきて感じました。




1)効率的に成果があげられると思われる、学習時期と内容

 以上のような経験を踏まえ、どのような英語教育が効率的か、小学校1,2年生、小学校3,4年生、小学校5,6年の3段階に分けて、書いていきたいと思います。
 なお、ここで書く指導法は、ごく一般的な生徒を対象に考えています。特に勉強ができる生徒や、英語を使える環境にある生徒などについての最適な指導法ではありません。


小学校1,2年 (幼稚園児なども含む)
 
 正しい英語の発音に触れ、単純に英語を楽しむ時期

 
《ゲームや歌などを通して、楽しく英語に親しみ、日常的に使う単語の「発音と意味」をたくさん覚えられるようにすると良い》

 「幼児期の英会話教室」が流行っているという話を聞きます。実際、楽しく遊びながら、英語の正しい発音を身につけるのに、一定の効果を上げていると思います。そんな中、こどもを英会話教室に通わせる余裕のない親御さんの不安の声も聞きます。教える学校の先生方も、既に格差のある生徒を教えるのは、大変であろうと想像できます。しかし、本当にそうなのでしょうか。

 記憶というのは、かなり怪しいものです。私は、週に1回程度、英会話教室で英語を習ったところで、日常生活でそれを使わなければ、すぐに忘れてしまうと思います。英会話教室で身に着くのは、「簡単な英単語や発音くらい」と思います。覚えたと思ったものも、使わなければすぐに忘れてしまうからです。英検4級程度の文法力まで、身に着けましたと言っても、英検5級程度の文法をすっかり忘れているというのは、よくあることなのです。(ネットを使うなど、毎日英語に触れる機会を作っているような教育機関があれば別ですが…)
 記憶について

 そんなわけで、毎日生徒と接する機会のある先生方は、英会話教室や塾の先生と違って、影響力は絶大です。教え方一つで、生徒の英語力向上に、ものすごく寄与できるのです。是非是非、頑張っていただきたいです。

 小学生の1〰2年では、むずかしめの単語や言い回し、英語を書くことを教えても、あまり効果がないと思います。この時期に教えるのに効果的と感じるのは、身近なものを英語で言えるようにすることです。食べ物・動物、数、曜日など、身近なものを英語にできるようになるといいですよね。一度教えたと思っても、生徒はすぐに忘れてしまいます。もし、一か月、新しく教えた単語に全く触れなかった後、生徒がどのくらい覚えているか、確認してください。ほとんど忘れているはずです。でも、しょっちゅう、その単語を使っていたら…知識ほ長期記憶装置に入ります。

 ALTの先生が居れば、先生の
「物まね」をさせるような感じで、何度も繰り返し、大きな声を出して発音をする練習させてみてください。英語の発音に大事なことは「物まね」の能力です。「勉強」が得意な人が、英語の発音が良いわけではありません。
「マクドナルド」「チキン」「アップル」は、誰でも意味がわかるのに、アクセントと発音が全く違い、英語らしい抑揚でないと通じません。日本語と全く違う英語の抑揚をまねるのは面白く、楽しみながら、単語を覚える絶好のチャンスです。
また、絶対学習するであろう、1~15までの数字の発音を正しく教えることも大切です。なぜならば、これらの数字に含まれる、L, F, V, N, THは、日本語にない発音だからです。
 L, F, V, N, TH…これが日本人の苦手な発音

 超大切!英語の数字の発音

 いろいろな単語を覚えたら、その単語を使ったゲーム(例えば、「サイモンさんが言いました」や「誰かがイメージした単語を当てるゲーム」)などして、遊びながら英語への興味と知識を増やせると思います。

 英語の歌も効果的です。ただし、どのような歌を選択するかで、違いが出てきます。いくらビートルズの曲が良いと思っても、この時期の英語力向上には、ほとんど役に立ちません。外国人がサザンオールスターズの歌を覚えても、日本語の上達に効果的とは思えないのと同様です。

 幼児
向けの楽しい歌やビデオ教材があるようです。明確で、わかりやすい英語で、リズミカルに学べるのが特徴です。途中途中にむずかしいフレーズが入っているものもありますが、教えた単語だけ、しっかり発音できるようにすれば、かなり効果的です。歌だと、繰り返し思い浮かべて歌えるので、繰り返し学習が最も必要な英語には、良いことずくめです。英単語は、本当にすぐに忘れるので…
 古い知識かもしれませんが、Oxford University Press のStudent Book (一部の幼児のための英会話教室で使われているようですが)では、
歌で「曜日」「数字」「アルファベット正しい発音(フォニックスに基づく)」などを覚えるようになっています。同時に、「文字(letter)」への興味も引き出す工夫がなされていて、とても良いと感じました。
この趣旨に合ったCDやビデオ教材、ネット教材をご存知でしたら、教えていただけると幸いです。こちらに載せさせていただければと思います。

 
以前、小学校へのALTの派遣も少なかった頃、青少年相談員をしていました。その時、有名な、「Head and Shoulders」や、フォニックスが学べる「Listen to the letters」という英語の歌を、発表会で歌うような企画を立てました。小学校の4年から6年生の有志を集め、何度も練習した結果、歌は、発音の向上や英語の楽しさを教えるのに効果的と感じました。昔、幼児に人気のテレビで「Head and Shoulders」が流行っていた頃、「Shoulders」が何か、多くの子供が知っていたと記憶していますが、今は残念ながら、いちいち教えないとわからない中学生もいます。簡単で身近な単語は、是非、歌の中で、教えてほしいと思います。



小学校3,4年

  英単語の正しい読み方を覚えながら英語を楽しむ時期


《ローマ字を学習する際、アルファベットの正しい発音(フォニックス)を教え、英語の綴りと発音の関係性を理解できるようにすると良い》

 アルファベットの発音(フォニックス)を学べる英語の歌などは、正しい発音を学ぶきっかけとして、とても良いと思います。ただ、歌だけ楽しんでいるだけでは、生徒の学習意欲を十分引き出し、満たすことはできないでしょう。さらにこの時期になると、生徒の特性や性格などから、発音が上手な生徒と、そうでない生徒が、はっきり分かれてくるはずです。

 私は、このあたりで、理論的に、英語の発音方法を教えることが、生徒が効率的に英語の綴りを書けるようになるために、とても有効であると思います。綴りを書くことがとても苦手なために、英語嫌いになる中学生に多く出会いました。是非、一度、以下のページを見ていただきたいと思います。

 l,f,v,n,thこれらのアルファベットが発音できれば大丈夫!

 
小学校の4年生でローマ字を学習する時に、英語の正しい発音(フォニックス)に合わせて指導ができれば、日本人が、「カタカナ英語」などと、揶揄されることがなくなると私は思います。日本人にとって、特に苦手な発音のことは、外国人ではなく、ネイティブな日本人だからこそわかるものです。ネイティブな英語の話し手は、余程日本語に精通していないと、理論的に発音を教えることはむずかしいと思います。
 例えば、「し」は「siスィ」ではなく、おかしの「shiシ」。これなら、shiは、英語としても正しい発音になります。「ん」は「n」と書きますが、これはあくまで日本語で、英語の「n」は、実は「ンヌ」と読むと、あらかじめ教えておいてはどうでしょう。このように教える先生が少ないので、nの発音ができず、英語らしい発音にならない日本人は多いです。(偉そうに書いている私も、恥ずかしながら、そこに気づいたのは、23歳の時です。遅!)
 ただ、現在(2015年3月)、小学校では、ヘボン式ではなく、訓令式でローマ字を教えているところもあるようです。これが主流かは確認していませんし、いろいろな考えに基づくものと思いますが、「英語を話せるような教育」と言う観点からは、大問題と思います。是非、以下のページもご覧になってください。

 
「ローマ字も英語らしい発音で練習しよう!」

 基本的なアルファベットの発音方法がわかったら、英単語の「つづり(spelling)」「読み」「意味」を正しく「組み合わせる(maching)」技能を身につけさせる必要があります。「会話」優先で楽しく英語を学んできた生徒が突然英語嫌いになる要因も、その組み合わせがしっかりできないことが原因と思われます。

 特に、数字などは、つづりと読みに大きな隔たりがあるので、勉強のできる生徒でさえ、戸惑う人が居ます。トランプの神経衰弱をやるように、カードの表につづり、裏に意味、(例えば、表「one」、裏「1」など)を書いて、遊びながら覚えさせるのも、英語嫌いを招かない有効策の1つと思います。
 現在(2017.8)、東京大学を受験しようとしている私の生徒が、5年生の頃、英語の数字をしっかり覚えて発音もできていたのに、つづりを全く覚えられず、この方法を使って、やっとできるようになったということがありました。勉強できるできない、関係ないのです。

 英単語のつづり・spellingの覚え方


 英語をたくさん書かせて覚えさせるのは、中学校に入ってから(あるいは、教科となる5年生から?)で、十分であると思います。その前に、単語を固まりとして覚え、
英単語を見ただけで正しく発音ができ、意味がわかることが大事です。書くことに時間をかけるより、より多く単語を学べます。英単語が読めるようになってくると、英語でできるゲームの幅も広がり、その後の学習もスムーズに行えるようになります。スムーズに学習ができれば、繰り返し学習の頻度も上げられ、知識の定着につなげられるのです。



小学校5年6年

  簡単な文法を覚え、英文の意味をしっかり理解する時期


《英文法の基本: 英文には必ず主語があり、動詞はbe動詞と一般動詞の2種類の区別があることをしっかり教えると良い》

具体的に教える内容はこちら小学生にもわかる英文法

 小学校高学年(5年6年)で、文法を教えていくような話が出ていますが、私は大賛成です。小学校高学年と言えば、もう、ゲームや歌、また、行きあたりばったりな英会話より、しっかり理論立てて英語を教えた方が、理解を得やすい時期と思います。注意深い生徒なら、何故、相手に尋ねるとき、「Are you~?」と「Do you~?」の聞き方があるのか、疑問を持ちます。生徒の疑問を解消してあげないと、やる気を削ぐ結果も招くかもしれません。
《これは、私の生徒(2013年中3で英検2級取得)が、港区立の小学6年生だった時に、ALTの授業を受けて感じていた話です。当時、彼女は塾などに通っていなかったため、文法を教えてもらっていませんでした。もっと早く、文法を習っていたら、あれほど戸惑わなかったと話していました。》


 
この時期の英語指導で気を付けていただきたいのは、「書かせる授業ではなく、話させる授業の実践」です。文法については、まず、「主語」、「be動詞の現在形」について教えることになると思います。その時、日常的に使えそうな、簡単な「名詞」「形容詞」も教えてあげると、自分で英文を組み立てられ、自分で考えた会話ができるようになると思います。

 以下は、中学生向けにまとめた英文法です。

 
英語には必ず主語がある!
 
be動詞の現在形・肯定文・疑問文・否定文

 これらは単数・複数を混ぜて書いています。ただ、あまり早い段階で、単数・複数をうるさく言ってしまうと、理解できない生徒のやる気を削ぐことになる気もします。3人称単数形のitだけでもかなり難しいのに、複数が出てくれば、theyも学ばなくては英文が成り立ちません。個人的には相当大変だと感じます。詳しくは以下をご覧いただき、考えていただければと思います。

 主格の説明、「主語の認識が苦手」な生徒


 会話重視ということで、小学校でも、一般動詞を使った文を早くから学んでいるところも多いようです。遊びの延長や命令文などで学ぶのなら良いのですが、文法としてしっかり学ぶのならば、よく考えていただきたいのです。be動詞と一般動詞の用法の違いをきっちり押さえられない中学生が多いのです。

 be動詞を理解することは、日本人には大変むずかしいことです。小さい頃から英会話をやってきて、「英語できる!」と言う生徒でも、否定文がI'm not~なのか、I don't~なのか、よくわかっていない場面に、何度も遭遇しました。日本人が学ぶ英語は、初めのうちは、会話らしい言い回しが重要なのではなく、第2外国として学ぶ言葉として、相手に通じる言い回しを覚えることが重要なのではないでしょうか。生徒の様子を見ながらになると思いますが、1年くらいは徹底して、be動詞だけで授業を進めた方が、
中学校につながる、本当に生徒のためになる授業できると思います。

*2種類の動詞の難しさはこちら:

  
動詞(be動詞と一般動詞)の説明について

*一般動詞の現在形はこちら:
  一般動詞の現在形・肯定文・疑問文・否定文
  3人称単数現在形・肯定文・疑問文・否定文
 
 私が塾で担当した生徒の中に、小学5年生から教えている生徒がいます(2017年4月現在高校3年生)。その生徒は、中学2年生の1学期で英検準2級を取得(2013年7月)しました。彼女は、小学校3年時に、1年ほど英会話教室に通った経験がありましたが、私は週に1度、小学5年の1年間はbe動詞だけ、6年になってから一般動詞の現在形を教え始めました。綴りを書く練習はそれほどしませんでしたが、基本例文を何度も何度も音読するように授業を進めました。そんなスローペースでしたが、中学1年生の終わりには、中学で習う文法の8割がたは教えることができました。基礎中の基礎を時間をかけて教えることが出来ていれば、後々習う文法の習得がきわめて容易になることを痛感しました。

 小さいころから英会話をやっていて、「小学校で英検4級をとりました」と言って、塾に来た生徒が、中学生になって、どんどん英語ができなくなる姿を何度も見ました。特に、中1では塾に通わず、むずかしくなり始める中2から塾に来たら、基礎がわからず大変なことになっていたという生徒もいました。普段英語を使う機会の少ない日本では、一度覚えたと思っていても、使わなければ忘れるのは当たり前のことなのです。適当に覚えたものなど、すぐ忘れてしまいます。せっかく、
小学校で英語を教えるならば、中学の英語につながるような教え方をしていただきたいと、心から思います。


 このように、
普段の生活で英語を使わない日本では、新しい英文法を教えても、生徒は次から次に忘れてしまいます。私が、小中学生を塾で指導するにあたり、1番重視したのは、忘れないようにするために、繰り返し基本例文を音読練習できるために、重要な基本例文や単語を、1冊のノ―とにまとめさせることでした。これは、勉強が得意・不得意にかかわらず、すべての生徒の英語力を上げるのに役立ちました。是非1度、このノート(私自身はマイノートと呼んでいますが、文科省から出ているものとは違います)の作り方をご覧ください。

 マイノートを作ろう



 英文には「必ず主語がある」こと、「動詞にはbe動詞と一般動詞の2種類ある」ことを、生徒にしっかり理解させてください。そして、何度も何度も音読することが、英会話の上達には、絶対必要であることを教えてあげてください。
 普段英語を使わない日本では、習った英語をすぐ忘れてしまうことなど、当たり前なのです。忘れてしまった生徒を叱らないでください。生徒が繰り返し、英語に触れる気持ちになるように、ご指導いただきたいと思います。





                    


戻る
2 小学校の英語教育について