英語に「自信がある・ない」とは?/英語指導で必要なことは?
問題点1: 小学校での英語指導に関する、指導方法が曖昧
…英語教育に関するしっかりしたマニュアル作成が必要
…参考になりそうな小学校の外国語活動例のサイトへのリンク
…小学校の新外国語教材、We Canについて (2018.7現在)
問題点2: 自信を持って英語指導できる先生の不足
…英語指導のできる先生の養成と教育補佐の確保
①英語の発音や文法の基礎を学び直す
②英語の堪能な地域ボランティアに協力してもらう
③ALTなどネイティブの英語指導助手について
④英語のアシスタント教員…資格、報酬、待遇は?2018年
⑤2021年10月・英語のアシスタント教員の現状
*文部科学省/新教材説明会の資料(5・6年生用/2017.10)
平成19年度研究成果物小学校英語活動15 -子どもたちの積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するために-
文部科学省 小学校外国語教材We Can!デジタル教材の紹介(YouTube)
音声教材の使い方の説明
動画を見て感じたことは、リスニングが「むずかし過ぎる」という印象。何となくは、わかるようになると思いますが、しっかり理解するのは至難の業と感じました。例えば、
We can*Unit1/ Let's Listen(5年生)
…I like hambuger steaks. They are yummy. Do you like hamburger steaks?と出てきます。一般動詞のlike。be動詞のareが一緒に出てきて、混乱する。複数形のsteaksが出てきて人称代名詞のtheyで受ける。ここまでむずかしくする必要があるのか疑問でした。
「動物の絵、英単語、英単語の読み」を組み合わせて学べるような機能があって、それは便利と思いました。
文科省・Small Talk (スモール・トーク)
…小学校5年生Unit1~6年生Unit9まで出ているYouTube教材です。
初めから、バカみたいにむずかしいです。中学1年の後半レベルに合うような教材と感じます。
新学習指導要領を具現化した新教材の解説:校内研修シリーズ №34
校内研修の資料となる動画/教材の使い方の説明動画。
参考には、なると思います。しかし、やはり教材が文法的にむずかし過ぎるので…
英会話教室などでは、「フォニックス」を教えることが一般的と思いますが、この「フォニックス」を知らない小学校の先生方が多いと聞きました。実は、学習指導要領に、「文字と音の関係」を指導するように書いてあるようで、まさにこの「文字と音の関係」がフォニックスです。そして、We Canの教材にも、アルファベットのフォニックスについて述べている箇所があることが、動画を見ていてわかりました。(フォニックスという名称は使っていませんが…)
〈読むことに関する練習〔Jingle〕…文字の読み方には、名称と音があることに気付き、それらに慣れ親しむ。
読むことに関する練習〔Sounds and Letter〕…(a~z)文字の音と、その音で始まったり終わったりする単語に慣れ親しむ。〉
ここでは、発音の詳しい説明はありませんでした。
参考:アルファベットのフォニックス
《小学校の新教材We Can!について》(2018.7現在)
小学生向け教材として、ざっと見ると、楽しく学習できそうな、良い教材に見えます。実際、生徒が本当にこの教材をすべて理解でき、知識も維持できれば、早いうちに英語を話せるようになるのも夢ではないでしょう。しかし、文法的に見ると、初心者が学ぶには、あり得ないむずかしさと思いました。文法の説明は必要ないという前提で作られているように見えますが、文法を正しく教えておかないと、結局、以前と同じように、小学校英語の学習は「お遊びの延長」で終わり、中学での英語学習にうまく結びついていかないのでは…という印象を受けました。小学生も高学年になれば知的レベルはかなり高いと思います。「幼児向けの英会話教室で使われているような教材の延長ではなく、中学英語と齟齬が生じないように、文法の説明も入れ、もう少し初歩的な英語に焦点を絞った教材にした方が良いのでは?」というのが私の見解です。
詳しく、目についた問題点を書くと、5年生の早い時期に、be動詞、一般動詞が混ざった文が出てきます。今、中学生でさえ混乱している生徒が多い地域もあるのに、大変と思いました。また、複数形の説明が十分でないと思われる段階で、人称代名詞のtheyが、電子教材には出てきます。
6年生では、不規則活用動詞の過去形、wentやateがいきなり出てきます。不規則活用は「特別」と把握できなければ、生徒は、過去形を作る法則が学べません。つまり、応用が利かなくなってしまうと思います。また、よく使う文だからと、I
want to do.という、不定詞の名詞的用法まで出てきます(5年生も?)。私が中学生を教えていた経験から言えば、be動詞と一般動詞の文法の違いがきちんと把握でき、肯定文・否定文・疑問文が作れる生徒は、不定詞が出てきても混乱しませんが、それができていない生徒は大変なことになっていました。
こんなに複雑な文法を、小学生の段階で学ばせる意味がわかりません。文科省は、できる生徒だけを伸ばすエリート教育を推奨するために、この教材を作ったのではないかと疑いたくなるレベルです。公立小学校の一般的な生徒の英語力を伸ばすには、この教材を使って教えるのは至難の業と感じました。小学校の先生方が皆、英会話が堪能で、英語指導力も格段に高い場合は別ですが…
現状では、学習指導要領に書かれた通りに、この教材で授業を進めては、落ちこぼれてしまう生徒が出てきてしまうと思います。生徒の理解度に応じて、省略しながら教えて行くことも、場合によっては必要ではないでしょうか。
指導要領は、マストではないはず(←文科省のページ)
「『学習指導要領はマストではない』という根拠を教えてください。」
私のサイトを読んでいただいた方から、このような質問をいただきました。正直、しっかり読んでくださる方がいることがわかり嬉しかったです。
上記の文科省のページの中に、『各学校では、この「学習指導要領」や年間の標準授業時数等を踏まえ、地域や学校の実態に応じて、教育課程(カリキュラム)を編成しています。』となっています。「実態に応じて」とあります。
今後の英語は、小学校の英語教育が始まったことで、地域差が今まで考えられないほど、大きくなると想像できます。私は塾の講師として中高生を教えてきましたが、すでに地域差を感じていました。私の地域では、中学2年に上がる直前の生徒達が、be動詞と一般動詞の使い分けも十分できないのに、学習指導要領の範囲を終わらせるために大急ぎで現在進行形を教える先生を散見しました。当然、生徒達は大混乱です。
小学校の英語指導のスペシャリストを多く抱える自治体とそうでない自治体が出てきています。この先の事を考えると、例えば小学校の教材「we can」内の英語について、英文法の知識も踏まえて、しっかり学んだ子供たちは、中学2年生からの範囲の授業にも対応できるはずですが、教科としての英語の指導を十分受けられず、「英語を楽しむ」レベルで小学校を終えた子供たちは、結局中1レベルの最初の一歩からやり直さなければならなくなることが容易に想像できます。こうなってしまったら、中学の先生も、既に理解している項目が違う生徒に、どうやって授業をしていけばよいのでしょう。効果的な授業ができるでしょうか。
「指針」は大事です。しかし、色々な要因で授業が順調に進まないことなど、起こり得ることです。英語が苦手になってから塾に来る多くの生徒を見てきて、現場の先生方に希望することは、生徒の様子を見て、臨機応変に対応頂きたいということです。教えるべき範囲の授業時間が足りないのに、無理やり詰め込むことはやめてください。生徒の理解を妨げるだけです。どうしてもノルマをこなさないといけないならば、その部分は授業ではなく、プリント配布などで代用しても良いではないですか。大切なのは、生徒が混乱するような授業はしないことです。何が生徒のために大切か、今一度考えていただきたいです。生徒の英語の勉強は、中学、高校、場合によっては大学、さらに社会人になっても続いて行くのですから…
教科書がむずかし過ぎると感じる具体例
We can! 1 (5年生)
Unit2のStory Time
I want to speak English more. We are good friends.
…不定詞の名詞的用法(中2の2学期)、we/friends複数が出てきます。「どうしてこうなるんですか?」と生徒に聞かれたら、どう答えますか?説明にものすごく時間がかかると思いますが、説明しなければ納得できなく、英語嫌いな生徒も出てくると思います。こんなむずかしい文法のが、この時期に必要でしょうか。リスニングもリーディングも、習った文法で対応できる教材にするべきと思います。応用は中学に入ってからで十分では?
We can! 2 (6年生)
Unit5に、I went to the sea. It was fun.
I ate pizaa. It was delicious.
…一般動詞の過去形の、しかも不規則活用動詞が出てきています。また、be動詞の過去形wasまで、同時に出てきてわかりにくいです。中学生にとってもむずかしいところです。
さらに、主語をitで受けるか、theyで受けるかも、小学生に説明するのはかなり時間をかけないとむずかしいのではないでしょうか。授業中にわかった気になっても、何となく覚えたものは、何となく忘れ、自分で自由に英文を作っていく時に苦労することが想像できます。
英語を話すことにつながる英作文
*小学校の英語専科指導教員とは?報酬や身分は?2020年から公立小学校での英語授業が正式導入されることになり、英語指導の先生が採用され始めているニュースを聞きました。英語教育に一番必要なのは、優秀な先生の確保であると思い、大変良い傾向と感じていました。ところが、その先生方の給料面などを含めた待遇が、地域によってまちまち、しかも、学生アルバイト程度の待遇しか得られない先生方も多いと知り、憤りを感じています。優秀な人材の確保には、それなりの待遇を用意すべきというのが、私の考えですが...
*文科省の言うところの「地域人材」枠との違いは?
*小学校英語指導者認定協議会のJ-shineの認定とは?
*臨時教員免許状の発行はある?
Facebookでの、私の質問とお応えいただけた回答
鹿児島県薩摩川内市の場合 (2018.5.28)
私の質問:
1.小学校英語指導の有資格とは、J-shineの認定を受けたということ?
2.J-shine の認定を受けないと、小学校で指導できないのでしょうか?
3.英語指導の先生の待遇が、地域によってバラバラなようですし、また、お立場も不安定な印象で危惧しています。実際どうなのでしょうか?
回答:
鹿児島県薩摩川内市からです。こちらの教育委員会では、本年(2018年)4月より、5・6年生の英語教科化を先行実施しています。
Q1・Q2について
J-Shineは国家資格ではありません。鹿児島県の薩摩川内市の小学校英語講師(独自にESTと言っています。春に、市の教育委員会独自の公募により、日本語と英語の面接試験を受けて採用となりました。)は、J-Shineの取得は必須ではありません。全国的にも、まだ必須でないところの方が多いのでは?
Q3について
理想を言えば、国家資格である教員免許を持った先生が教えるのが理想でしょうが、その教員免許を持っている先生ですら、各県の教員採用試験は中々難しく、鹿児島では、とんでもない競争倍率で、逆に正規採用になってない先生は、正規採用の先生の産休中の代用で期限付きだったりします。ですから、そう言った、期限付き(教員免許所持)の先生の処遇が改善する見込みもまだたってない段階では、「英語講師」の待遇の改善は、恐らく、まだまだ先になると思います。私の教えている、薩摩川内市でも、時間給で、交通費は別途市の規定で支払われますが、年金も保険もついて居ません。市の教育委員会では、将来的には、まず「嘱託員」化は、検討しているという事でしたが、2020年の全国的な小学校英語の教科化までは、それもなさそうです。
ですから、私立の小学校はわかりませんが、小学校英語講師だけで、食べられる人は、まず、現状では居ません。
千葉県鎌ケ谷市の場合 (2018.7.24 教育委員会からの回答)
「本年度より配属された小学校の外国語専科の教員は、みな正規の職員です。」 という回答を受けました。千葉県全域で、このようになっているかどうかまでは、確認できていません。ただ、行政の予算が潤沢ではない市でも、小学校で英語専科の正規職員を得られるということでした。
鎌ケ谷市の小学校は8校あり、2018年は、まだ最低限の時間での英語の授業になっています。現在は、各校に1人の英語専科の正職員と、英語ネイティブのALTで協力しながら、授業計画を立てているということです。私はこのような事情を当初知らず、6月に市内某小学校の校長先生とお会いして、「無償ボランティアでもよいので、協力できることがあれば…」と申し出たのですが、必要ないようでした。こちらのサイトの「小学校の英語教育での活用法」については紹介はさせていただき、「関係者に伝えたい」というお言葉を頂きました。地域によって、英語専科の教員の待遇はずいぶん違うものだと痛感しました。
《小学校の英語指導教員の報酬ってどれくらい?》
eigo-t.netより(2010年)
英語だけ教えるという立場のため、殆どの場合常勤ではなく、数時間のみの勤務ということになっているようです。
小学校英語指導者全体で平均時給の統計を取ってみたところ、約1,110円となっています。一番低い人は「無償ボランティア」で、一番時給の高い人は8,000円~9,000円程度、地域・事情によってかなり差があるのが実情です。
平均的な時給の相場としては、1,000円~2,500円程度といったところのようです。
J Shine 特定非営利活動法人・小学校英語指導者認定協議会
(2018.5.28…新情報はこちら)
小学校の英語指導者の待遇は、現在、アルバイト程度の扱いのところが多いようで、英語指導者の仕事だけで食べていくのは、相当大変なようです。このような状況下で、上のような認定機関の存在を知りました。また、このような認定を受けるため、20万円ほどかかる対策講座まであることも知りました。しかし、実際、認定された人が、良い待遇で採用されるとは限らないこともわかってきました。いったいどういうことでしょう???
「小学校英語指導者資格」を取得したい方は、J-SHINE の認定を受けた登録団体が主催する「指導者養成講座」を修了し、その団体より「小学校英語指導者」としての推薦を受けなければなりません。 ご自分が研修を受ける団体を決め、受講修了時にその団体の「資格認定の手続き」に従い書類などを作成し、指導者認定審査料とともにその団体へお申込みください。《2021年10月3日加筆》
また、研修講座の受講修了のほか、次の 2 点の基準を満たしている必要があります。
1.指導時間 50 時間以上の実施経験があること。
2.英語力の目安として、英語で授業が行えること
小学校英語指導者認定協議会 - J-SHINE2017文部科学省のホームページに新教材説明会で配布された資料(5・6年生用)が掲載されました。ぜひ、下記URLからご覧くださいませ。
【お知らせ】新教材の情報が公開されました。
http://www.mext.go.jp/…/chou…/shotou/123/houkoku/1382162.htm...
※今後も随時資料が更新される予定とのこと。
また、3・4年生用の新教材も追って公表の予定です。
説明会の様子は文部科学省のYouTubeページにて動画が公表される予定です。
「Thank you for sharing us New Elementary School Text Book and other files.
Text books look interesting but these
curriculums seem so difficult for elementary school students. Is making interesting books and making students
interested really important? Is it
really useful for them to be fluent in speaking English?
As we Japanese usually have few chances to
speak English in everyday life, it's too difficult to maintain knowledge on
English. Studying easy words, easy phrases and easy grammar repeatedly seem so boring
for students, but I think that is the most important thing to do to learn
foreign languages. Even in junior high schools, students easily forget what
they learn, but it’s not unusual thing. It’s normal unless they study
repeatedly. Every teacher should tell their students about it...I think.
I have been struggling with many problems
brought about by English teachers of high schools as well as junior high
schools. I came to the idea that the reason why Japanese are not good at
speaking English is mostly related to the skills of teachers.
I would appreciate it if you would check my HP on English Education at school.
Thank you.
http://makki-english.moo.jp/contentsfirst2.html」
MEMO↓ facebookで頂いた反響を投稿者名を臥せていますが、自分の励みのために勝手に載せさせてもらっています。すみません。