

3)高校レベルの辞書の引き方/単熟語の覚え方
(英検3級合格レベルの中学生〜大学受験に向けて…) 《2021年7月@A改訂》

記憶について…覚えることが苦手な人必見

@正しい辞書の引き方について
正しく辞書を引くのは意外とむずかしい。ぜひチェックを!
紙の辞書と電子辞書、どちらが良い?
英英辞典を使う方が良い?
A中学英語と高校英語の大きな違いと勉強のやり方
英文読解の練習/予習のやり方
高校英語の授業についていけない理由と対策
実は本人の責任でないところで英語力格差が生まれている?
B英単語の覚え方・単語集の選び方について
*紹介書籍: Z-KAI・速読英単語/ 東進ブックス・英語長文PREMIUM問題集
アルク・ユメタン/ 旺文社・ターゲット/ 啓林館・Word Navi
C英熟語の覚え方について 《文法と関連付けて覚える?》
*紹介書籍: アルク・ユメジュク/ アイシーピー・DUO(デュオ)
桐原書店・データベース/ Next Stage/
Forest/Evergreenについて
単語集や熟語・文法書の選び方のまとめ
D自分で単語帳やリングカードを作るのは?
*効率的に覚えられる単語帳の作り方
ここでの紹介書籍は、生徒が高校で使用していたものを中心にまとめました。他にも、私の確認していない良い教材があるかもしれません。あくまで参考までにお読みください。もし、「これがおすすめ!」というものがあれば、メールなどでご連絡いただけると幸いです。
《2017年1月現在》
大学受験に向け、長文読解ができるようになるためには、英文法に加え語彙力が必要になってきます。また、辞書を正しく引く能力も必要です。英字新聞を読みこなしたい社会人の方にも、こちらのページは参考になると思います。
なお、英文を読むというより、英語を話す能力を身につけたい人は、このページは飛ばし、
英語を話せるようになるための近道は?をご覧ください。
@ 正しい辞書の引き方について
中学までの英語は、どちらかというと、先生に教えてもらうという、受動的な勉強が中心だったと思います。英語の基本がわからないのに、自己流で勉強しても非効率なので、「学んだことを、復習して、しっかり覚えていく」というのは、とても効率的な勉強法です。しかし、ある程度の英文法を理解できている高校生が英語を学んでいく上で大切なのは、英語の多読です。語彙力の定着にも役立ちます。そして、高校英語が中学と一番違うのは、「教科書の予習を絶対やるべき」ということです。そして、そのために重要なことが、「辞書を正しく引く能力」なのです。
《辞書の引き方:例3》
You should park your car here.
この文の意味がわかりますか?
文法的には、中学2年生レベルの文です。しかし、「よくわからない」という人も多いのではないでしょうか。「あなたの車はここの公園にあった方がいい。」などと訳し、なんとなくわかった気になっている人はいませんか?(←高校3年でこう訳した人が実際いました。)
はっきりわからないのに、わかった気になってしまうことが一番問題です。
1) 英語には、必ず、主語Sと動詞Vがあることを思い出しましょう。
2) ここでは、主語Sはyou、動詞Vは、助動詞shouldの後が「動詞の原形」なので、動詞になり得るのは、parkしかないとわかるはずです。
3) 動詞parkの後に名詞があるということは、この文型は「SVCの第2文型」か、「SVOの第3文型」であることがわかります。(ただし、英語の文型については、中学3年でしっかり教える学校と教えない学校があるようで、習ってないとわからないかもしれません。知らない人は
基本5文型へ。)
4) ここで初めて、「parkを辞書で引かないと、この文は訳せない。」と気が付きます。
5) parkを辞書で引くと、「名詞・公園」の後に、「動詞・〜を駐車させる」と出ています。《ジーニアス英和大辞典では、「park=〔SVO〕(人が)(車・自転車など)を駐車させる」と出ています。》
6) つまりこの英文の構造は、SVOの第3文型で、意味は、
直訳「あなたは、ここにあなたの車を駐車させるべきです。」
⇒意訳「ここに車を止めたらいいよ。」です。
「park」を辞書で正しく引けましたか?

基本的な辞書の引き方:例1/例2はこちら
なお、文法レベルが「高校レベル」と言っても、高校生になったら誰でも「高校レベル」というわけではありません。高校生になっても、「中学レベル・英検3級レベル」の文法がよくわかっていない人、語彙力が不十分な人は多いです。(本人がいけないわけではなく、学校の先生方の指導力の問題ということも多々ありますが…)
ただ、悲観する必要はありません。英語は勉強すれば誰でもできるようになる教科です。わからなければ、それを謙虚に受け止め、自分がわかるレベルまで戻ってやり直せば良いだけの話です。自分の実力を謙虚に評価し、やり直す勇気を持つことが大切です。
繰り返しになりますが、中学などで基本5文型を学んでこなかった人は、
基本5文型 を学習し、「自動詞」と「他動詞」の違いなども、理解できるようにしてください。辞書を正しく引き、英文を理解するために、とても大切なところです。
紙の辞書と電子辞書、どちらが良い?
紙の辞書と電子辞書…どちらが良いか、使い勝手の良し悪しを決めるのは、使用者です。
紙の辞書は、引いた語句をマーカーで印をつけたり、自分が付け足したいことを書き込んだり、、辞書を単熟語集のように、じっくり使いたい人には向いていると思います。また、haveなどの多義語の使用法を調べる時も、全体を見渡せる点で、電子辞書よりもわかりやすいです。デメリットは、辞書を引くのに時間がかかってしまうことや、電子辞書にある、有益な機能が使えないことです。収録用語数も限られていることも、頭に入れておいてください。
電子辞書は、辞書を引くのに時間がかからず、調べた履歴も残るので、自分で調べた新出単語の見直しも容易です。リンクを効率的に使用することで、類似語を調べたり、成句や言葉の用例も簡単に検索でき、有効に使えばメリットは大きいです。デメリットは、多義語や多数の使い方があるthatなどの単語を調べる時、紙の辞書のように、全体を見渡せないことです。ここは不便です。
紙の辞書を推奨する先生もいますが、私は、電子辞書は非常に便利と思います。実際、翻訳などの仕事をする場合は、紙の辞書と電子辞書を併用していますが…。
紙の辞書も電子辞書も、購入する際、できるだけ、実際に自分で使ってみて、自分の好みに合うかを確認することも大切と思います。suggestなど、使い方のむずかしい単語を引き比べてみるのも良いと思います。
英英辞典を使う方が良い?
英語の勉強になるからと、高校生に英英辞典を薦める先生もいますが、私はあまりお薦めしません。まだ習っていないようなむずかしい文法や単語が説明文に入っている場合もあり、英語が苦手な生徒はもちろん、得意な生徒でも、理解するのに時間がかかり過ぎてしまうことが多いからです。
《例》英英辞典の単語の説明文より、
次の英文は、どのような単語の説明文でしょう?日本語で答えられれば十分です。
1) 《noun/countable, uncountable》 the various aspects of a person's character
that combine to make them different from other people 《Oxford Leaner's
Dictionariesより》
2) 《verb/intransitive, transitive》 to make a legal claim against someone, especially for money, because they have harmed you in some way 《Longman Dictionary of Contemporary Englishより》
↓
↓
↓
答えは…
1) personality=人格/ 直訳→《名詞/可算、不可算》他の人との違いを際立たせるために結合させる、色々な面の人の性質
2) sue=〜を訴える/ 直訳→《動詞/自動詞、他動詞》誰かに対して法的な要求をすること。とりわけお金を求めて。なぜなら、彼らは何らかの点において、あなたを傷つけたから。
上の例で、英英辞典の中の英語の説明文を理解できましたか?理解するには、それなりの単語力と文法力が必要です。一般的な高校生は、むずかしいと感じる人も多いでしょうし、むずかしすぎると、やる気も無くなってしまいます。英英辞典は、上の例が簡単と感じた人や、どうしても使いたい人が使うべきものと思います。
英英辞典を使うのは、基本的な英単語や英文法を習得し、ある程度の読解力が付いてからにしましょう。英語力がついてから使えば、色々なメリットがあると思います。
ネットで使えるOxford Leaner's Dictionaries
ネットで使えるLongman Dictionary of Contemporary English

A 中学英語と高校英語の大きな違いと勉強のやり方
前にも書きましたが、高校英語の中学との大きな違いは、「教科書の予習を絶対にやるべき」ということです。なぜ、「予習」が大事かというと、学校を卒業してから、仕事の英語の資料を読む時など、自分の力で読んでいかねばならず、誰かに教わらなくても、英語が理解できる力を身に着ける必要があるからです。自動翻訳機の機能も良くなていますが(2021年7月現在)、まだまだ「完璧」とは言えません。自分で読める力を付けることが、自立への一歩と考えてください。
英文長文読解の練習のやり方:
高校入学時から大学入試に向けて、読解教材を勉強の進め方:
@まず、辞書を引かずに一通り読んで、大体の内容を把握しましょう。
その際、
スラッシュリーディングしながら読んでいくと、自分がどの文の意味がわからないか把握できると思います。自分がわからないところがどこかを把握できることが重要です。
Aわからない単語や熟語にチェックを入れておく。
特に、把握したわからない文を理解するために、どの単語や熟語が重要か、
基本5文型を念頭に照らし合わせて考えておくとよいです。
Bチェックを入れた単語や熟語を辞書で引く。
正直、知らない単語を全部調べていたら、時間がいくらあっても足りないので、まず重要な単熟語だけ調べてみましょう。文脈で意味を想像できる単語も出てくると思います。入試の実践練習としても役立ちます。
正しい辞書の引き方について
C単語や熟語の意味を調べても、わからない文があれば、その箇所にしっかり印をつけておき、実際の授業で理解できるよう、わからなかったら先生に質問するようにしましょう。
予習せず、授業で先生の解説を聞いているだけでは、自分で英語を読む力はなかなか付きません。授業では、自分が理解できなかった箇所を理解する事が重要で、先生がその部分を重点的に教えてくれるかどうかはわかりません。もっと言えば、わかっている部分の授業を聞く必要はないのです。
なお、あまりにも知らない単語が多く、内容がさっぱりわからないという場合は、自分にとって教材がむずかしすぎるか、基本的な単語力の不足が原因です。自習では、簡単な教材や前の学年で使った教材をやり直すなどしましょう。また、学校の教材がむずかしすぎる場合は、予習範囲をしぼり、「ここまではしっかり予習できた」と言う部分を少しづつ増やしていきましょう。
長文読解/速読のポイント/大学受験レベル
実践的な英語力をつけさせるとかで、「英語の予習はしなくていい」などと言う高校の先生がいるそうです。生徒の英語力が相当あれば、そういうやり方もありでしょうが、自分自身で訳し方を練習ができなかった生徒が、実際社会に出て、英文の契約書などを正しく理解できるようになるのか、甚だ疑問です。今は、ちょっとしたネットの契約でも、英文が出てくることがありますから…
一方、あらかじめ、「主要単語や熟語の意味を書いたプリント」を生徒に配る先生もいるようですが、そのような指導には実は大賛成です。生徒の語彙力に大きな格差があるのは事実なので、「予習=単熟語の意味調べ」で終わってしまっては、効率的な勉強にはなりません。(実際、私が高校1年の時、1ページに知らない単語が30個もあるような教材を、毎週何十ページも予習しなくてはならず本当に英語が嫌いになりました。意味調べはただの作業…。ところが、同じ教材で、知らない単語が3個しかない生徒もいたのです。やさしい友人で単語帳を貸してくれましたが、全く役立たなかったので、その後借りるのをお断りました
)
高校英語の授業についていけない理由と対策
実は本人の責任でないところで英語力格差が生まれている?
高校の教材は、中学の教材と違い、学校によって難易度に大きな違いがあります。入試でそれなりのレベル分けをされていることを考えると、これは当たり前かも知れませんが、同じ高校の生徒でも、もともとの英語力に大きな差があるのです。理由は、出身中学の英語教育のレベルが大きく違うからです。色々な学校の生徒を指導した塾講師だったからわかることですが、決して本人の責任ではありません。
高校入学直後の出だしが、大きく違うのです。つまり「予習をしよう!」と言っても、これが簡単な生徒と、ものすごく大変な生徒がいるわけで、同じように勉強しようとしても、うまく行くはずがないのです。それでは、どうしたら良いのでしょう。
1) 語彙力:同じ高校生でも、語彙力が大きく違う
中学の時、英語の成績が5段階評価の5を取っていた生徒がいるとします。「英語が得意」と思われますが、実は同じ5でも、「英検3級程度の語彙力しかない」人と、「英検2級の問題を理解できる語彙力がある」人がいるのです。公立高校の受験では、英検3級程度の語彙力があれば十分なので、高校入学当時の語彙力は、両者に大きな開きがあり、「高校に入っていきなり成績が下がってしまった。」などということは簡単に起こります。そんな時、「自分はだめだ」などとガッカリしないでください。スタートが違うのだから出来なくても当たり前と思って、勉強するようにしてください。
英語は「できるようになりたい」と思いさえすれば、いつでもやり直せる教科です。語彙力不足で、予習もままならないという人は、以下の
英単語の覚え方・単語集の選び方を読んでみてください。また、1度覚えてもすぐ忘れてしまうという人は、以下をご覧ください。
単語主・熟語集を覚える時の注意点
2) 読解力:長文を読むスピードが大きく違う
こちらのサイトで度々書いているスラッシュリーディングができるようになると、英文を読むスピードが格段に速くなり、リスニング力の向上にも役立ちます。スラッシュリーディングができるようになった私の生徒の中には、一度も外国に行ったことがないのに、帰国子女と先生に間違われる人もいました。
ところが、中学でも高校でも、2017年現在、スラッシュリーディングの指導している学校は限られています。英語力が同じように見えても、スラッシュリーディングができる人とできない人で、長文を読むスピードも理解度も大きく違って来ます。
英文を速読したいという人、大学受験をする人は、是非スラッシュリーディングを試してみて下さい!速読は多読につながり、結局語彙力アップ・英語力アップにつながるのです。
参考
スラッシュリーディングとは?
長文読解、速読のポイント、大学受験レベル
3) 英文法:急に英語ができなくなることはある?
普段の生活の中で英語を使う機会の少ない日本では、英語に触れる機会を無理やり作らなければ、英語などすぐに忘れてしまいます。「帰国子女や海外勤務のある人は、日本に帰国しても、ずっと英語がぺらぺらだ」と思っている人も多いようですが、そんなことは絶対にありえません。日本に帰国してからも、継続的に英語に触れたり勉強していなければ、英語力などすぐに落ちてくるのです。
ただ、今まで、英語が得意だった人が、急にできなくなるということはありません。それでも、「高校英語は全然ダメ」という人は、実は、中学レベルの英語の覚え方が曖昧であったのではないでしょうか。「何となくわかっている」というのは、あくまで「なんとなく」です。英語は「あいまい」の少ない言葉です。
中学生レベルの英文法を見直そう!
中学1〜2年の英文法、
中学2〜3年の英文法を見直してみてください。基本例文の英文の意味が、すぐにわかりますか?また、日本語を見て、すぐに英語が出てきますか?この辺の知識があやふやだと、高校英語がますますわからなくなってしまいます。語彙力と同じくらい大事なのが、基本的な英文法の知識です。中学英語を復習することは、決して恥ずかしいことではありません。日本語を見て、すぐに英語が出てくるようになれば、英作文をする時も、英会話をする時も必ず役立ちます。
参考
自分の本当の英語力の確かめ方と勉強方法

B 英単語の覚え方・単語集の選び方について
(2017年3月現在)
大学受験をする人は、早めに、(できれば高1で)志望校に合わせたレベルの単語集を1冊、必ず学ぶようにしてください。なぜなら、単語力は、早くつければつけるほど、英語の勉強が楽になるからです。
前にも書きましたが、高校英語を勉強するのに、語彙力がある人とない人では、英語学習の容易さに、ものすごい格差が出ます。
実は私も、語彙力が大幅にない高校生でした。高校入学当初、教科書1ページにわからない単語が30個もあるということもありました。その時、同級生の一人は、知らない単語が3個だけ。結局、格差は開くばかりで、高校の英語の成績は赤点すれすれでした。「もっと早くから、単語力アップの努力をしていれば、あんな辛い高校時代ではなかったのに…」というのが、今の思いです。
単語力アップと言っても、むやみやたらに覚えても時間の無駄です。ABC順に覚えるなど、相当な記憶力の持ち主でない限り、非効率です。
市販の単語集は、よく試験に出る単語などを、コンパクトにまとめています。1つの単語で多数の意味がある多義語でも、覚えるべき意味が書いてあります。「どの単語の、どの意味を覚えるべきか」がわかる単語集を活用してください。
学校指定の単語集があるならば、まず、それをきちんと覚えましょう。ただし、単語テストなどある時、テスト前の2〜3日で覚えて、テストが終わるとすっかり忘れてしまう人を多く見かけます。これでは、時間の無駄です。新出単語など、1度覚えたと思っても、1週間も見なければ、ほとんどの人は忘れてしまいます。単語は長期間かけて覚えるのが、定着するコツです。
「記憶について」にも書きましたが、長く覚えておくためには、繰り返し、繰り返し、見直すことが大切です。面倒なようですが、これが、結局、効率的な勉強になるのです。
なお、単語は「書ける」ことより、「意味」と「読み方」をしっかり覚えましょう。
高校受験とは違い、大学受験では、必要となる英語レベルは、大学ごとに千差万別、驚くほど違います。学校指定の単語集が自分に合わないと感じている人、学校指定の単語集がない人は、以下を参考に、単語集を購入してください。
なお、英検対策用の
旺文社の「英検Pass単熟語」に関してはこちらをご覧ください。
- Z-KAIの「速読英単語」
見開き左側のページに英文のお話、右側のページにその対訳が載っています。それぞれの英文を読むために必要な新出単語もまとめられていて、単語を覚えてから、英文を読めるようになれば、自然と語彙力、長文読解力が上がるようになっています。長文読解が得意な人には、特におすすめです。
ただし、発音表記が発音記号のみなので、発音が苦手な人、発音記号が読めない人には不向きです。また、入門編ですら、普通に、仮定法過去などの文法が説明もなく入っているので、基本的な英文法が身についてから、取り組んだ方がよいと思います。
「入門編」:英検3級合格以上で準2級を目指すレベルの生徒にお勧めです。
「必修編」:偏差値上位高校で、よく使用されている教材です。一般的大学受験用にちょうど良いです。ただし、英検準2級程度以上の英語力がない人には、英文がむずかし過ぎて不向きです。
「上級編」:早稲田大学など、かなり高い語彙力を求める大学の受験生向けです。ただ、普段あまり使わないような単語を覚えても、簡単な単語を忘れてしまっては意味がありません。「必修編」に出ている単語が完璧に頭に入り、余裕がある人が取り組んでください。
なお、訳文は、ぼぼ意訳になっています。速読のために利用する場合は、
スラッシュリーディングで、直訳をイメージしながら読み進め、自信がない場合に訳文を見て、確認してください。
- 東進ブックスの英語長文PREMIUM問題集
(レベル別あり、 安河内哲也 総合監修)
スラッシュリーディングを取り入れた、長文読解の問題集で、辞書をいちいち調べなくてもよいように、「語句リスト」が付いていて、長文読解の練習をしながら、単熟語を覚えられるという、メリットがあります。長文読解練習で、スラッシュリーディングを取り入れたものは、まだ少ないので(2016年12月現在)、お勧めです。ただ、長文を読むのが苦手な人には不向きです。他の単語集に取り組み、基本的な英文法を履修した後、取り組む方が良いでしょう。
- 長文読解が苦手な人は、以下の単語集を参考にしてください。
- アルクの「ユメタン」
発音表記がカタカナのため、発音が苦手な生徒にも使いやすく、内容的にも、よくまとまっています。
この教材で単語をしっかり覚えた後、それぞれの章の「フレーズチェック」で、日本語文を見て、すぐ英文を言えるようにすると、英語を話す上でも、かなり実用的な英語力がつけられます。なぜなら、英語は、単語を単独で覚えても、なかなか使えるようにはならないからです。ただし、フレーズの訳が意訳すぎて、その意訳から英文を導き出すことがむずかしい場合があります。その場合、必ず、直訳を添えておいてください。
「フレーズを書いて覚える」のような記述がありますが、英語は語学。私は何度も音読して、すぐフレーズが出てくることが、英語を話す上で重要だと思います。書かないと覚えられない人も、必ず音読しながら書いてください。
「ユメタン1」(赤本):「大学合格必須レベル」となっていますが、大学受験には、もう少し上のレベルの語彙力が必要とも感じます。ただ、この教材内の単語は、とても重要なので、次の教材に進むのは、この教材の単語がしっかり覚えられてからにしてください。この教材の単語を、日本語を見てすぐに英語が出てくるくらいにしっかり覚えられると、英会話でも役立ちます。
「ユメタン2」(青本):「難関大学合格必須レベル」となっています。難関大学受験の生徒で、初めから「青本」に取り組む人もいますが、「赤本」の単語の方が大事です。「青本」に取り組むのは、「赤本」の単語を覚えてからにしましょう。
また、「赤本」から「青本」に進んだ人の中に、たまに、「赤本」を見直すと、かなり忘れてしまっている人がいます。英語は、繰り返しが大切です。時々復習することも忘れないでください。
- 旺文社の「英単語ターゲット1900」
短い例文つきで、受験に出やすい単語の順番にコンパクトにまとまっています。例文をきっちり訳せるようになると、英語力も上がってくるでしょう。
ただし、こちらは、発音にカタカナ表記がなく、発音記号のみなので、発音が苦手な人にはお勧めできません。(音声アプリやCDでしっかりチェックして、読み方がわからない単語には、自分でフリガナをつけるくらいの努力ができる人ならば、大丈夫ですが…)
大学受験対策の単語集として、採用している学校も多いようですが、単語集にもかかわらず、自動詞と他動詞の区別なく、〔動〕とだけ書かれていることにも、問題を感じます。 参考:
基本5文型・自動詞と他動詞
《例》 split=〔動〕〜を割る (2004年重版の3訂版より)
例文:The party finally split into smaller groups.
その政党は結局、小集団に分裂した。
*問題点:splitの意味が他動詞「〜を割る」しか書いていないのに、例文のsplitは、自動詞「分裂する」の意味です。これでは、生徒が混乱してしまいます。
- 啓林館の「Word Navi 英単語・熟語 3000」
英語の発音に苦手意識がある生徒の多い学校で使われていましたが、単語の発音に、カタカナ表記がついているうえ、CDも付いていて、使いやすいと感じました。やはり、むずかし過ぎないものを、しっかり覚えていくことも、効率的な英語の勉強法と、再確認しました。
(CDなどの音声教材だけで発音を覚えるのは、英語の発音が苦手な生徒には、かなり無理があると思います。)
単語と熟語の両方が掲載されている単・熟語集
↑単語は、こちらで覚える方法もあります。
単語集の例を挙げましたが、私は、すべての単語集をチェックしたわけではありません。また、単語集の見やすさの印象などは、個人によって全く違うと思います。
単語集を購入する時は、人の意見に惑わされず、自分の実力に合った、自分がやる気が出そうな単語集をまず1冊選んでください。英語の成績が上がらないからと、色々な単語集に手を付けるのは、もっての外です。
また、以下のようなものが載ってリるものを選ぶと、語彙力アップにとても役立つのですが、すべての点において、満足ができる単語集に、まだ出会っていません。
そこで、お勧めしたいのは、自分が購入した単語集に、必要だと思われる事柄をメモしておくことです。
「類義語」(suitable≒appropriateなど)
「反対語」(import⇔exportなど)
「派生語」(attract-attraction-attractiveなど)
「似た意味の熟語」(abolish=do away withなど)

C 英熟語の覚え方について
単語をよく覚えている生徒の中に、熟語をあまり知らず、英文を読めない生徒がいます。これも、困ったことです。ただ、熟語の覚える方法として、何が一番良いかというのは、なかなかむずかしい問題です。以下の@〜Bを参考に、自分に合ったものを1冊見つけて、勉強するようにしてください。
1) 熟語集を購入する (アルクの「ユメジュク」など)
熟語集に関しては、高校でも、単語集ほど、指示を出していないようです。私自信も、あまり詳しくなく、「これが良い!」というものがあったら、メールなどでご連絡ください。
ただ、むずかしい単語を、簡単な単語を合わせた熟語も多いので、「bring about=cause=〜を引き起こす」、「look for=seek=〜を捜す」など、熟語と単語の言い換えの仕方がわかるようなものがあれば、より役立つでしょう。大学受験の際、そのような問題を出す学校もあります。もし載っていない場合は、熟語集に自分でメモをしておくと良いと思います。
2) 単語・熟語が一緒の載った単・熟語集を購入する
(桐原書店のデータベース 3000 基本英単語・熟語
アイシーピー(ICP corporation)のDUO(デュオ)3.0など)
単語・熟語が一緒になっているものは、便利かもしれません。ただ、見やすさの点で好みが分かれると思います。
桐原書店は、中学3〜高校1年向きの「データベース 1700 使える英単語・熟語」も出しているので、3000でむずかしい人は1700から始めると良いでしょう。こちらは、英語の発音記号とカタカナ表記の両方が記載されているので、発音記号を覚えたい人にも良いと思います。
DUO(デュオ)は、短い文の中に覚えるべき単語や熟語が入っているので、文(センテンス)ごとに覚えたい人には、とても覚えやすい教材と思います。
例:On the whole, the elite are noto sensitive to criticism.
概して、エリートたちは批判に対して鈍感だ。
on the whole, elite, sensitive, criticismが新出単熟語で、説明があります。
また、be sensitive to, sensitivity, sensibleなど、一緒に覚えておくべき語法や派生語も載っているので便利です。(発音記号とカタカナ表記の両方が記載。)
ただし、例文が比較的むずかしいので、例文がよくわからないという人には不向きです。高校2〜3年になり、ある程度の力がついてから取り組んでも、よいかもしれません。
3) 熟語が多く載った文法書でまとめる
(桐原書店の「Next Stage 英文法・語法問題」など)
Next Stageは、偏差値の高い高校の生徒によく使われています。大学受験に向けて、とても良くまとまっています。ただし、内容がむずかしいので、高校2〜3年から取り組むなど、始める時期に注意してください。また、「わかりにくい」と感じる人は、評判が良いからと言って、無理に手を出す必要はありません。人の意見ではなく、「自分がわかりやすいかどうか」という感覚が大事です。
なお、文法については、こちら'Makki's English'のサイトも、かなり力を入れているので、以下の目次から勉強したいページに飛んでみてください。
Makki's English / 目次

*「総合英語Forest/ Evergreen」について
《定番英文法書であった桐原書店の「総合英語Forest」は、2017年1月に内容をほぼそのまま引き継ぎ、
いいずな書店の「Evergreen」となり、Forestは絶版になったようです。》
多くの高校で取り上げれれている文法書(問題集は別売)です。中学・高校で学ぶべき文法が、コンパクトにまとめられています。しかし、かなり分厚いので、高校生がこの文法書を読んで覚えるというには、不向きと感じます。
「Forest (Evergreen)」は、学校で文法を学んだ後、文法の問題集をやったり、英作文を作ったりする時に、「わからないところを調べたり確認する」くらいの使い方が良いと思います。また、自分なりに気が付いたことや、重要なポイントを、本に書き込んでおくと、後々とても役立ちます。私も色々書き込みながら、塾で生徒を教えるのに、ずいぶん活用させてもらいました。アルバイトなどで英語を教える立場の人には是非活用してもらいたい教材です。自分の勉強にもなります。
「Forest (Evergreen)」添付の「暗唱文例集」は、覚えてしまうと、英語力向上に必ず役立ちます。例文を丸暗記して、英作文力、英会話力を上げた生徒を、多く見てきました。
ただし、訳が意訳になっていることもあり、注意が必要です。これは、他の文法書にも言えることですが、必ず自分で直訳をしておくことが大切です。
《例》
"What you need is some rest."
=「君にはちょっと休憩が必要だ」
上は、Forestに載っていた例文と訳ですが、かなりの意訳になっています。この日本語から英文を作ると、"You need some rest. "になってしまいます。「君が必要とすることは、いくらかの休憩です。」と、しっかり直訳もしておくと、ここから英文を作るのは簡単です。
使える基本英文を暗唱することは、大変重要です。ただ、英文は必ず直訳するようにしてください。テキストの和訳が意訳ならば、直訳も書き込んでおき、まずその直訳を見て、英文が出てくるようにしましょう。出来てくると、直訳・意訳など考えずに、自然に英語が出てくるようになり、英語を話せる力のアップにつながります。
参考:
英文和訳は、必ず直訳を!そして音読をしよう!
*Forestについては、2016年までは多くの学校で採用していました。ただ、後継のEvergreenについては、私自身、その後塾講師を離れたので、現状はわかりません。以下、参考になりそうな意見を見つけたので、リンクを貼っておきます。何度も書きますが、教材選びは人の意見はあくまで参考程度にし、自分の目で実際確かめて、使いやすいものを選んでください。
英文法書についての質問です。学校からデュアルスコープが配布されている... - Yahoo!知恵袋
《単語集や熟語・文法書の選び方のまとめ》
単語集にしろ、熟語・文法書にしろ、その本がわかりやすいかどうかは、個人差が大きいです。先生などの意見は、参考までに聞いて、必ず自分の目で確認し、自分に合ったものを選んでください。
また、うまく覚えられないからと言って、色々なものに、手を出し過ぎないでください。結局、失敗する例が多いです。
1つの単語集・熟語集に絞って、何度も学習する事が、語彙力アップにつながります。
1冊学んだだけでは不安という方もいるかもしれません。同じレベルの単語集でも、「こちらには出ていて、こちらには出ていない」という、単語があるからです。
例えば「whisper」(ささやく)という言葉ですが、類義語の「mumble」(ぶつぶつ言う)、「murmur」(ささやく、ぶつぶつ不平を言う)を載せているものと載せていないものがあります。私が見たところ、「載せている方が良いのか」というと、そうではない。
どうしても不安ならば、1つと決めた単語集に、必要と思われる単語を書き足し、自分仕様にしてください。どうしても他の教材に進みたい人は、少なくとも、1冊の8割は覚えきったと確信してから、次の教材に手を出してください。
D自分で単語帳やリングカードを作るのは?
単語集などでは、なかなか覚えられないという人もいると思います。私もそうでした。単語にしろ熟語にしろ、どうしても覚えられないものは、単語帳やリングノート(単語カード)を作るのが良いと思います。ただ、英単語は膨大にあるので、むやみやたらに単語帳やリングノート(単語カード)などを作っても、ただの作る作業になって、時間の無駄ですし非効率です。
《学校の教科書やリーダーの単語を覚えるのは?》
学生の方なら、定期試験などで、教科書やリーダーで出てきた単語や熟語をかたっぱしに書き出して、覚えることもあるかもしれません。定期テスト対策としては効果がありますが、このような覚え方は一般的には非効率です。
例えばsuggestと言う単語を覚えようとします。教科書内では「〜を示唆する」だったとして、それだけ覚えるのはダメです。多くの単語集に書かれているように、suggestは「〜を示唆する。〜を提案する」と、よく使う「提案する」の意味も一緒に覚えておかないと不十分だからです。さらに、
suggestの使い方の注意のように、suggest+人+to do のような使い方をしないので、使い方もメモっておくのがおすすめです。
単語集などには、覚えるべき重要な意味や、例文などの使い方が載っているものが多いので、あらかじめ覚えて語彙力を高めておけば、教科書を読む時も、知らない単語の数を減らせ、予習も復習も楽ですし、効率的な勉強法になると思います。定期試験などで覚える単語と、受験対策用に覚える単語は、分けて考えた方が良いでしょう。
ただし、教科書を暗唱できるくらい読み込めるなら、話は別です。読み物の中で、自然に英単語も覚えられるので、とても効果があると思います。特に、長文読解が得意な人にはおすすめです。
Z-KAI・速読英単語は、まさにこの覚え方の延長です。
《私が実際やって効果的だった、手帳を使った方法》
…今は手帳など使わず、スマホに書き込んだり、関連アプリを使う人も多いとは思いますが、スマホでは別の誘惑も多くて集中できない人もいるかもしれません。覚え方の参考にはなると思うので読んでみてください。
まず、お気に入りの(小さな)手帳を用意します。そこに、名詞・動詞・形容詞など、品詞別に区切りをあらかじめ入れておき、覚えるべき単語を書き込んでいきます。photograph-photographic-photography-photographerなど、派生語がある単語は、「派生語」という項目を作って覚えるようにします。こうしておくと、geograph-geographic-geography-geographerなど、似たような派生語も、同じような感覚で覚えられます。また、import⇔export、impress⇔expressなど、「反対語」をまとめておくと、一度に2つの単語が覚えられて一石二鳥的感じです。使えそうな便利なフレーズも一緒に書き込んでおくと、さらに実用的になります。
このように、自分が覚えやすいようにまとめた手帳を常に持ち歩き、時間があれば見直せるようにします。音読すれば、英語の口の動かし方にも慣れ、英会話で使う時も、比較的スムーズに出てくるようになります。物覚えの悪い私でも、1か月くらいたつと、ずいぶん覚えられるようになりました。
手帳がいっぱいになったら、また新しい手帳を用意し、同じように書いていきます。ただ、前の手帳も時々見直さないと、新しい手帳に、前の手帳に書き込んだ単語を再び書いてしまうこともあり、「自分はやはり、覚えが悪いな〜」と落ち込んだりしました。英単語を覚えるには、繰り返しの復習が本当に大切です。
基本的な単語を覚えた後は、「病気…病院で役立つ単語やフレーズ」「犯罪…英字新聞を読む時など、よく出てくる単語やフレーズ」など、英語を使う状況別に、手帳にまとめるようにします。この方法は、英語を実際話したり、通訳したりする時にも、とても役立ちました。今でも、この作業は続けています。こちらについては、
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カテゴリー別・英語のまとめに詳しく書いているので、是非参考にしてください。
英語の学習が進んでくると、覚えなければ英単語が無限にあるような感覚に陥ってしまうことがあります。ただ、実際は、ビジネスの世界などでさえ、よく使う単語は案外限られているのです。
基本さえしっかりできていれば、自分が必要な分野の英単語を、その都度、覚えていけば、英語でコミュニケーションが取れるのです。
大学受験に向けて勉強している時は、本当に語彙力を伸ばす最大のチャンス!自分の実力と目的に合った教材を選んで、ぜひ頑張ってください