2020年に東京オリンピック開催が決まり、文部科学省は「英会話」に重点を置いた指導を、益々教育現場に求めるものと思われます。とても聞こえが良く感じますが、実際の学校の現状を考えると、本当にうまく機能するかは、このままでは甚だ疑わしいと私は思います。


  1. 高校の授業を、英語で行うことの問題点
  2. 読解の授業、文法の授業
  3. 英語で進める授業のために役立つコンテンツ

1)高校の授業を、英語で行うことの問題点

 2013年から、「高校の授業は英語で行う」ことが基本となったようですが、私の塾の生徒(千葉県)で、そんな教育を受けている生徒はあまりいません。それは先生の技能の問題なのか、授業を受ける側の生徒の問題であるのか・・・・・。

 私が塾で教えている中学2年生の生徒から聞いた話をご紹介します。(生徒は英検準2級、2014年1月現在)  中学校の英語の授業で、海外研修を終えて帰国してきた英語の先生が、いきなり英語で授業を始めたそうです。そのような経験のほとんどない生徒達は、全く聞き取れず、寝ている生徒も多かったとのことです。先生は、かなり易しい英語で話しかけていたようですが、いくら先生に英語力があっても、これでは全く意味がないと思いました。

 今まで一般的に、英語で英語を指導するようなシステムを、日本でとってきませんでした。そのような中、どのような教育指針が示されているか私にはわかりませんが、相当混乱することは想像できます。



 たとえば、過去完了の文法の説明をする時、次のような文を作ったとします。

In case of making the sentence of past perfect, you should grammartically pay attention to put a past participle after "had".

 日本語上でさえ、文法用語を覚えきれていない生徒も結構いますが、さらにそれを英語にすると、かなり難しく感じるのではないでしょうか。「past perfect」,「 past participle」はもちろん、「sentence」や「grammartically」でさえ、かなりの語彙力がある生徒でなければ、わからないかもしれません。まず、文法用語の発音と意味を教えてから、英語で授業をする必要があると思います。

 さらに、この文を聞いただけで理解できる生徒はどれくらいいるでしょう。
「単語の意味がわかれば理解できる」生徒より、「単語の意味が分かっても理解できない」生徒の方が多い気がします。生徒の英語力は、通っている学校によって、世間一般で信じられているより、ものすごく違います。


 一言で「高校英語」と言っても、それを学ぶ生徒の実力は、世間で考えられているより、ずっと千差万別です。大事な事は、生徒の実力に合った、生徒が理解できる英語を使って、先生が説明できるということです。そのための工夫を、先生方はする必要があると思います。さらに、それを可能にするサポートも必要なのかもしれません。例えば、生徒のレベル別、英語で指導するための例文集や用語集の作成などです。


 英語のできない生徒が多い学校ならば、前の例文を、次のようにかえたらどうでしょう。

Past perfect is 過去完了. Ok? I will show you how to make the setence. How to make は作り方だからね。 Put a past participle 過去分詞 after "had". After had は、hadの前?後?そう、後だから。 Be careful. 気を付けて。 Don't forget to use a past participle. 過去分詞を使うのを忘れない事。 Don't forget to use 過去分詞、past participle. Understand? わかった?

こんな感じで英語と日本語を交えて授業ができれば、How to make, Put, after, Don't forget, Be careful, Understand?など、
説明文でよく使えそうな言い回しを繰り返し生徒に聞かせることで、だんだん、日本語を使わなくても生徒が理解できるようになる気がします。まあ、文法用語を英語で言えることに、どのくらい意味があるかは問題ですが・・・


 繰り返しになりますが、学習塾で英語を教える中気づいたのは、
学校によって生徒の英語力が千差万別ということです。中学生レベルの英語さえ、怪しい生徒が多い学校もあります。これは、中学校の英語教育に相当な問題があると感じる私としては、高校の先生方に同情する面もありますが・・・。さらに、同じ学校内でもかなりの格差があるかもしれません。高校の先生は大変です。

 ただ、生徒の話を聞いたり、様子を見る限り、高校の先生方の実力も千差万別であると思いました。英語教育に力を入れていると評判の高校の授業を楽しみにしていたのに、全部英語で進める授業であるけれど、文法の説明がほとんどなく、どうしたら良いかさっぱりわからなくなったというような生徒もいました。また、先生が英語の発音を一切教えず、「辞書を引きなさい」で済ませるような学校もありました。

 さらに、偏差値の高い進学校の一部ででは、受験問題を解く文法力向上に力を入れていて、生徒の話す力というのは、あまり上がっていないところもありました。その反面、それほど偏差値が高くなくても、「Listening」と「Speaking」に力を入れていて、「英語を聞いて話す力」がかなり高まっている高校もありました。


 余談になりますが、2004年、ボーイスカウト日本連盟の海外スカウト受け入れ計画の時の手伝いで、私は初めてブータン人のスカウトと話す機会がありました。当時、ブータンについての知識がほとんどなく、言葉が通じるか不安でしたが、17歳と18歳の高校生年齢の2人の少女は、英語がネイティブかと思うような英語を話していました。本当に驚きました。国の方針で、小学校1年生から、学校では英語で授業を受けているということでした。段階的に英語だけを使った授業を進める国とは、日本の事情は大きく異なると思います。




2)読解の授業、文法の授業

@読解の授業で、意訳ではないく、直訳を教える必要があるのでは? 

 文科省の通知には、「高等学校においては,採択に当たり,各学校ごとに教科書の調査研究が行われているが,中には必ずしも生徒の実態に即した教科書が採択されていないような例も見られる。都道府県教育委員会は,採択権者として各高等学校に対して十分な指導・助言を行うことができるように,高等学校用教科書のための調査・研究組織を設けるなどして恒常的に教科書の調査研究を行っていくことが望まれる。」とあります。

  塾講師をしてきて、特に高校生の場合、
「学校のリーディング(読解)用の教科書の音読と直訳をしてもらうことで、生徒の本当の英語力を把握できる」ことが分かってきました。そんな中、同じ教科書を使っていても、先生の教え方と副教材によって、生徒の理解が全く変わってくることに気づきました。同じ学校で、同じ学年なのに、先生によって副教材が異なっている事さえあります。
  実際あった、わかりやすい例をあげます。1人の先生は、授業で前から訳していく直訳をし、プリントでも、それに沿ったものを渡し、生徒が理解しやすい授業をしていました。しかし、もう1人の先生は、直訳はせず、訳は意訳のプリントを渡すだけでした。高2で前者の先生、高3で後者の先生の授業を受けるようになった塾の生徒は、「学校で英語の授業を受けると、英語が全くわからなくなる」と嘆くようになりました。なぜ、同じ学校なのに、こんなことが起きるのでしょう。(2015年4月)

 先生の指導力と適切な副教材の重要性についても、つくづく考えるようになりました。




3)英語で進める授業のために役立つコンテンツ

 先生サイドから見ても、「英語で英語の授業を行う」というのは、簡単でない場合もあるかもしれません。たとえば、簡単なゲームのやり方を説明しようと思った時、私は意外と苦戦しました。何故なら、そのような経験が、今まで英語を勉強してきた中で、あまりなかったからです。以下、結構時間がかかり、英語ネイティブのカナダ人の方に訂正等して頂いた、英語でのゲームの説明方法です。ご興味がある方はご覧ください。
 英語ネイティブのカナダ人の方に教えていただいた、英語でのゲーム説明


 前にも書きましたが、先生方へのサポート、例えば、生徒のレベル別、英語で指導するための例文集や用語集など、良いマニュアルがあれば、生徒に平等に、良い授業を提供できる手助けになるのではないでしょうか。文部科学省にサイトで、参考になりそうな授業の紹介が出ていましたが、どこをどう参考にしたら良いのか、少し分かりにくい気がします。
 誰かが正当に評価し、先生方が参考にし易いサイトにできたら、先生方の負担が少なく、より良い授業を提供できる本当の意味でのサポートになるかと思います。それは、システムさえ整えれば、そんなに難し事ではないと思うのですが、いかがでしょうか。


 以下、私がとても役立ちそうだと思ったサイトです。しかも、たまたま行きつけたサイトです。神奈川県のALTが作った、小学生のための英語でのゲーム説明などですが、日本人がこの英語を書くのは、結構難し気がします。日本語にすると簡単なことですが、ネイティブらしい英語表現で英訳するのは大変です。それを丁寧に、英語と日本語で載せてくれています。このような、お役立ちサイトを、簡単に見つけられるシステムを、作り、広く紹介していただきたいです。私も、このページで、見つけ次第紹介したいと思いますが、良いページをご存じの方は、掲示板やメールなどでお知らせください。こちらにまとめたいと思います。


文部科学省「小学校外国語活動サイト」
http://www.ota.ed.jp/boe/eigokatudo/eigokatudoshiryo090305/index.htm
→「情報コーナー」→「各教育委員会等ホーム―ページ」
→「神奈川県立総合教育センター」
http://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/index.html
→「Home]
→「Check it!英語のページ・新しい教材掲載しました」
http://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/kyouka/eigo/eigo00.html
→「ALTが作成した教材の紹介・ゲーム集」









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