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   日本手話と英語との共通点
            (最終更新日:2024年11月28日)
                                        
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* はじめに *


日本手話と英語との共通点

1.表情が大事

2.表現の強弱とイントネーションが大事

   *発音・キュード法とは?

3.主語の明確化が大事

4.意味をつかんだ具体的な表現が必要

   オノマトペ(擬音語や擬態語)はあまり使わない

5.1つの単語で色々な意味を持つ言葉が多い

6.文章を作るコツは簡潔でわかりやすい表現を‼

   接続詞の使用頻度が日本語ほど多くない

7.1度覚えたら終わりではなく継続が大事


*英語との関連で覚えやすい手話*


☆関連ページへのリンク☆
リンク英語を話すことにつながる英作文/ 余談・手話と英語
↑私が感じた、コミュニケーションを取るために必要な、英語と手話の共通点について書いています。


☆関連外部サイトへのリンク☆
動画外部リンクNHK手話CG  (手話=Sign Language)
…単語を入れるとCGで手話表現が見れ、とても便利です。


-はじめに-

 長く英語学習に関わってきた者として、日本手話を学んで気づいたことがあります。それは、英語との共通点がとても多いということです。英語を学ぶ前に、手話に少しでも触れておくと、英会話にも役立つテクニックが詰まっています。

 さらに、共通点をまとめていく中で気づいたことがあります。それは、
手話はコミュニケーションを取るのにとても優れた言語ということです。英語は色々な国の人が使う言語ですが、手話の基本が分かっていると、耳の聞こえない人どうし、使う言語が違っても、ある程度のコミュニケーションが取れるようです。

 難聴や中途失聴者で手話がわからない人も多いと聞きますが、コミュニケーションを取るのに優れた言語である手話を、是非習得して欲しいと思います。きっと世界が広がると思います。そのためにも、意欲のある人達が簡単に手話を学べることができる環境が整うことを期待します。





-日本手話と英語との共通点-

  1. 表情が大事

     手話を覚える時、知っておきたいポイントにも書きましたが、手話を使う時、顔の表情をつけることが大事と学びました。
    例えば、「本当?」の手話をする時、目を大きく見開けば「とても驚いている感じ」。首を傾げれば「尋ねたり、いぶかしんでいる感じ」になります。これは英語の「Really?(アりィ/本当)」の使い方と全く同じです。
     英語圏の人は日本人に比べて表情が豊かなので、豊かな表情が必要な手話を学んでおくと、英会話を学習する時に、とても役立つと思いました。


  2. 表現の強弱とイントネーションが大事

     手話では、表情と同時に表現に強弱をつけることで様々なことを表せますが、それがわかった時、英語で大切となるイントネーション(声の上がり下がりなどの抑揚)を思い出しました。
     日本語は抑揚が少ない、とてもフラット(平坦)な言語なので、抑揚をつけることが苦手な日本人は多いです。手話を学ぶことで、この抑揚をつける感じも理解できるようになると思いました。因みに英語では、しっかり抑揚をつけると、表情筋もしっかり動いてきます。

    *発音/キュードスピーチ?
     因みに、口話に必要な読唇術の習得のために発声方法を学んだろう者は、聴者でもむずかしい「な行」の「N」や「ま行」の「M」の発声時、唇の動かし方がとてもうまくできていて驚かされました。(キュードスピーチに関係する?)
    英語の発音習得にも役立ちそうです。


    《キュードスピーチ》
    1966年(S41)京都聾学校で導入。1973年(S48)千葉聾学校でも導入。
    日本語の発声が「子音+母音」の組み合わせであることを利用し、「子音」の発声法の練習と「母音」で終わる口の形に着目?

    *千葉県立千葉聾学校の学校公開があり見学させていただきました。その際、同学校で生徒に指導しているキュードスピーチは、英語の発音を習得する際もとても役立つと、筑波技術大学(視覚障害者、聴覚障害者のための国立大学)の先生からもご指摘があったという話があり、「やはりそうなのか~」と思いました。(2025年6月)


  3. 主語の明確化が大事

     日本手話を学習する際、「主語を明確にすることはとても大事である」と習いました。英語も全く同様です。
     当サイト内の英語のパート「英語では必ず主語が必要」にも書きましたが、日本語は主語を省略することが多く、これが、日本人が英作文や英会話が苦手な一因にもなっています。

    例えば、「中学2年生で習う助動詞」にも書いた以下の文をご覧ください。
      ①「窓を開けてもいいですか?」
      ②「窓を開けてくれますか?」
      ③「窓を開けましょうか?」
    ①と③で「窓を開ける人」は「私」です。②では「あなた」になります。主語が何かを考えず、英文を作れない生徒は多いです。

     また、手話では「指の代理的表現」と言って、場所や人の名前など、同じ単語を何度も繰り返す必要がないように、指を特定の位置に固定して表すことが多いです。英語でも、同じ単語は繰り返さず、全ての単語を、例えば主語の場合は、I/ we/ you/ he/ she/ it/ theyのどれかに必ず置き換えます。

    《例》
    先週、香川県に行きました。香川県はうどんで有名です。
    I went to Kagawa prefecture last week. It is famous for Udon.
    日本語では「私」を省略していますが、英語では、手話と同じように「I (アイ/私は」を入れ、また、日本語では「香川県(=Kagawa prefecture)」を繰り返しますが、英語では「It(イットゥ/
    それは」に置きかえるのが普通で、手話と同じです。

     英語を本格的に学習する前に、日本手話の基本を理解できていると、英語の理解も進むと思いました。


  4. 意味をつかんだ具体的な表現が必要

     日本語は曖昧な表現が多いのに対し、英語も手話も、具体的な表現が必要とのことで、この辺りも似ていると思います。

     例えば、オノマトペ(onomatopoeia/オノマトピィア 擬音語、擬声語、擬態語)。英語にもいくつかありますが、日本語ほど使いません。手話も同様とのことです。
    例えば、「歩く」の表現…手話では、脚に見立てた人差し指と中指の動かし方で、歩く様子まで表せます。英語の場合は、一般的な歩く=walk(ウーク)ですが、ブラブラ歩く=stroll(ストウる)、よちよち歩く=toddle(ドる)、とぼとぼ歩く=plod (プッドゥ)、(酔っ払いが)よろよろ歩く=stagger (スガー)のように、単語自体を変えて、歩く様子を具体的に表します。

     「見る」の場合も、一般的な英語=look(ックゥ)ですが、きょろきょろ見る=look around (アウンドゥ)、じっと見る=gaze(ゲイズ)、じろじろ見る=star (スアー)、チラチラ見る=glimpse (グンプスゥ)など、具体的な言葉があります。手話では、人差し指と中指を目に見たて、見る様子まで表せます。
    このようにまとめてみると、手話は、誰もが理解できる便利な言語に思えます。

     手話奉仕員養成テキストに、混乱しやすい2つの文例が出ていましたが、これにも、英語との共通点が見出せます。


     ①ニューヨークへ行った時、父が空港まで来てくれた。
     ②ニューヨークに行く時、父が空港まで来てくれた。

    上の文を英語に直す時、主語を入れて、しっかり意味をつかんだ表現を使うことが重要で、手話ができれば、英語に直すのも楽になると思いました。まず、主語を入れた具体的な日本語に直してから、英語に直訳すればよいからです。

     ①がニューヨークに到着した時、父が空港まで迎えに来てくれた
     ②私がニューヨークに向かって出発する時、父が空港で、私を見送ってくれた
     ①When I arrived in New York, my father picked me up at the airport.
     ②When I left for New York, my father saw me off at the airport.


    日本語にとらわれない意味をつかんだ具体的な表現は、手話にも英語にも大切とわかります。


  5. 1つの単語で色々な意味を持つ言葉が多い

     手話を覚える時、知っておきたいポイントにも書いたのですが、手話では、動詞とその動詞を名詞化したものはを同じ単語で表すことが多いです。それに気付いた時、これも英語に当てはまることも多いと思いました。
    例えば、「増える、増加」は、手話で同じ表現で表せますが、英語でもどちらも"increase (インクリースゥ)"です。同様に、「輸出する、輸出」は、"export (エクスポートゥ)"になります。

     不定詞の
    want to (ウォントゥ トゥ/ ~するのが好きだ、~したい)。英語でもよく使う表現ですが、手話でも、動詞になり得る言葉の後に「好き」と言う表現を加え、全く同様に表せます。
     例えば、want to go (ゴー)=行きたい、want to eat (イートゥ)=食べたい

     手話の「必要」も、動詞になり得る言葉の後に付けて、助動詞のmust(マストゥ/ ~しなければならない)と同じ表現ができます。
     例:must eat=食べなければならない、must work (ワークゥ)=働かねばならない

      手話の「できる」も、動詞になり得る言葉の後に付けて、助動詞のcan(キャンヌ/ ~することができる)と同じ表現になります。
     例:can go=行くことができる、can work=働くことができる

     同じ意味を持つ単語とは少し離れるかもしれませんが、英語の接続詞などで、日本手話と結びつけるとイメージしやすい単語もあります。


    例えば、when (ウェンヌ~/(する)時、~(だった)頃)、if (イふ/もし~ならば)
    way…よく使う単語ですが、手話の「方法」にイメージが重なります。
    mean、meaning…手話の「意味、なぜ」にイメージが重なります。
     What does it mean?/What do you mean? (どういう意味?)
     Why?(なぜ…手話では「意味(=理由)」+「何」で表す)

     さらに、英語と結びつけると、覚えやすい単語もあります。英語のexampleの意味は「例」、for exampleは「例えば」ですが、手話ではどちらも同じ表現で表すことができます。「例えば」という表現は、手話でも英語でも会話で使うと便利です。

     chance(チャンスゥ/ チャンス、機会)、by chance (たまたま)
     purpose (パーパスゥ/ 目的、目標、ねらい)、in purpose of (~の目的で)
    …日本手話はアメリカ手話とは異なるのですが、多義語の英単語が日本手話の単語の意味とピッタリ合うのが驚きです。



  6. 文章を作るコツは簡潔でわかりやすい表現を‼

     伝えるのがむずかしい日本語を手話に通訳する時、「元の文章にとらわれず、簡単な表現に直す」という作業も必要です。これも、日本語を英語に通訳する時と全く同じで、大きな共通点であると思います。《参考:英作文(和文英訳/日本語→英語)の注意点

    ①相手に伝わる表現
     例えば、「秋の味覚」は、手話の「秋」+「食べる(物)」+「美味しい」で表せると、地元の手話サークルで習いました。これを英語に直すと、delicious food of autumn (デシャスゥ  ふードゥ オぶ ータムンヌ/秋の美味しい食べ物)になります。autumn taste (秋の味)とか、seasonal food of autumn(秋の季節の食べ物)とも訳せますが、delicious food of autumnの方が、会話が弾みそうです。


     また、日本語で時々使う二重否定も、聾者にはわかりにくいと聞きましたが、英語でも同様です。
    例えば、「私は、彼が間違っていないとは思わない。」

    これを英語にする時は
    "I don't think he isn't wrong."のように直訳せず、
    "I don't think he is right."「私
    は、彼が正しいとは思わない。」
    このように、簡潔に表現するのが普通です。


    ②言語文化に合った表現
     また、通訳の基本でも触れましたが、自然な通訳をする場合、元の文にとらわれず、その言語文化に合った表現にすることも必要です。
     【日本語→英語の通訳】の例を上げると、以下の日本語でよく使う言い回し…
    「ただいま、ホワイト氏からご紹介にあずかりました鈴木イチローと申します。」
    これを、
    "I was introduced by Mr. White just now. My name is Suzuki Ichiro."
    のように、日本語の文に合わせて直訳すと、文法的には間違っていませんが、英語ネイティブはこんな言い回しはしません。
    "Thank you Mr. White. I am Suzuki Ichiro."(ホワイトさんありがとう。私が鈴木イチローです。)
    このくらいの英訳が自然で、手話通訳にも通じる考え方ではないかと想像します。

    ③接続詞を使用頻度が日本語ほど多くない
     なお、聾者の使う日本手話は接続詞を使う頻度が少ないようですが、これも英語と同じです。「なので」「だから」などの接続詞を日本語ではよく使いますが、英語に訳す時は接続詞を少な目にした方が自然な英語になるのです。
    参考:英作文のやり方と注意点


  7. 1度覚えたら終わりではなく継続が大事

     これはつくづく感じることですが、日本手話も英語も言語です。そして言語の一番の役割は、コミュニケーションの道具と私は思います(専門家の方のお叱りを受けるかもしれませんが…)。そのコミュニケーション力を維持するためには、「継続…続けること」がとても大切です。

     誤解されている方も多いのですが、「3年間アメリカで暮らしたことがある」とか、「イギリスの大学に留学していた」と聞くと、その人はずっと英語がペラペラというイメージを持つ人がいます。しかし、決してそんなことはありません。もしその人が今でも英語が堪能ならば、日本に帰ってきてからも、英語に触れているはずです。英語を全く使わなくなったら、英会話力はすぐに落ちてしまいます。手話についても同様で、せっかく覚えても、手話に触れる努力をしないと、忘れてしまうと思います。

     言語の学び初めの「
    継続の重要性」についても触れたいと思います。
    私が塾で英語を教えていた時、1週間に1日だけ、4時間英語の勉強をするならば、毎日30分(合計1週間で3.5時間)英語を勉強する方が英語力は伸びると言ってきました。なぜなら、1週間全く英語に触れなけらば、忘れてしまう割合が増えるからです。《参考:記憶について
    英語と手話の共通点を考えてきて、手話の習い初めにも、同様のことが言えるのかなと思いました。せっかく覚えても1週間、全く復習しなければ、忘れるのは普通ではないでしょうか。



-英語との関連で覚えやすい手話-

英単語 読み方 意味 / 解説 
  chance   チャンスゥ チャンス、機会
by chance  バイ ~  たまたま
  example イグザンプる 
*手話:例外=例+他
for example  ふォー ~  例えば(たとえば)(手話:例x2)
       
  import インポートゥ  輸入、輸入する
*名詞も動詞も同じ単語を使う
export  エクスポートゥ  輸出、輸出する 
*名詞も動詞も同じ単語を使う
  increase インクリースゥ 増加、増える
*名詞も動詞も同じ単語を使う
decrease  ディクリースゥ 減少、減る
*名詞も動詞も同じ単語を使う
       
  mean  ーンヌ  ~を意味する
*What do you mean?(どういう意味?)
meaning ーニングゥ 意味
手話:なぜ?(Why?)の意味もある
because (なぜなら)=「意味」+「何」
       
   基本(きほん)
=基礎、元(もと)、 資源、根本、根拠、根
←手話の多義語?
*右手はぐーにして手前に向け、顔の右前、肘が90度に曲がるくらいの位置に置き、左手もぐーにして、甲を右肘の下につけ、その後、左手の指先だけ下向きにパット開く。
*「基本=根」のイメージから  
origin リジンヌ 起源、由来、源泉、素性、起点
*手話:源(baseと同じ手話)
語源=語(右手の人差し指だけ立てて唇にあて、前に出す)+源
base ゙イスゥ  土台、基礎、起点
《手話:基礎、基本》
*基金、財源=基礎+ お金の袋(右手で袋の口を握るようにし、左手の平で袋の下方を支えるようにする)
*基地=基礎+場所
*基本給=基礎+給料(右手でお金の形を作り、左手の平の上方に構え、同時に引き寄せる)
《NHKCG》
root ートゥ 根、根底、根源(origin)、祖先 
       
  have ~を持っている
《手話:右手の平を上に向け、上げながら握る/「所有」の意味での使い方が英語に近い》
*家を持っている=家+持つ
*お金を持っている=お金+持つ
《手話辞典》
       
  purpose   パーパスゥ 目的、目標、ねらい
*目標は何?=目標+何
in purpose of インヌ ~ オぶ   ~の目的で
       
  way  イ  方法、やり方 
《手話》
*どうしたら?=方法+何≒how (ハウ)
* 生き方=生きる(両肘を張って、同時に外側に2度動かす)+方法
《NHKCG》
*解決策=解決(手の平に×を書く)+方法
       
  can (助動詞) キャンヌ  ~できる
*can go(ゴウ)=行くことができる
*can work(ワークゥ)=働くことができる
  must (助動詞)  スト    ~しなければならない
*must eat(イートゥ)=食べなければならない
*must work (ワークゥ)=働かねばならない
must (名詞)  必要不可欠なもの 
  want (動詞) ウォントゥ  ~を欲しい 
want to do
(不定詞) 
~トゥー ドゥー  ~したい 
*want to go (ゴー)=行きたい
*want to eat (イートゥ)=食べたい
       
  if (接続詞) イふ  もし~ならば 
  when(接続詞) ンヌ  (~する、~した)時に
*私が子供の時
*困った時は~