1 中学校の英語教育について  戻る

8)その他、生徒指導で、問題と思われること


 記述式の解答に、部分点を与えない。
 1箇所でも間違えたら、0点?! (2015.3/2017.3/2020.7改訂)

☆ページ内リンク☆ 
 @2015.3記述式問題で、1箇所でも間違えたら0点となった実例
   書く力、話す力…日本人の英語力の実情

 A2015.4-5この問題に関する市教育委員会とのやり取り

 B2015.5千葉県教育委員会とのやり取り

 C2015.6上記に関して、千葉県教育委員会の最終回答

 D2015.6最終回答を受けての私の考えと、各所に出した要望

  1)最終回答を受けての私の考え 2)千葉県教委へ 3)市教委へ
  4)文科省へ  5)群馬県でも採点基準非公開(2017.3)

 E2017.9この問題のその後と私の考え
   …読んでいただけると幸いです。

 F2017.9中学校の英語の先生方へ
   …学校の先生方に読んでいただけると幸いです。


公立高校入試の採点基準の公開・非公開について

 採点基準を公開している埼玉県と、公開に関する私の考え

 採点基準を公開している東京都教育委員会 (外部サイト)

 採点基準を公開していない群馬県からの情報
  公立後期入試・採点基準の現場を歩く(外部サイト)
  「 みんなの学校新聞編集局様サイト」内
  私の意見も、取り上げていただきました。( 2017.03.02)
  
千葉県では、高校入試の英語の記述問題の採点基準が非公開になっています。そのため、千葉県内の多くの中学校の実力テスト(学力テスト)で使っている業者は、割と良く書けている英作文でも、1つでも間違えがあれば、部分点を与えず、0点で採点するということがわかりました。(2015年3月現在)

 英作文は、英会話力向上のためにも一番大切なのに、このような事で、良いのでしょうか?しかも、中学3年12月に行われる最後の実力テストは、生徒、担任、保護者が、志望校を最終決定する目安となる大事なテストです。その時、正当な採点がなされていなかったら…

 こちらでは、英検2級に受かる実力がありながら、記述式の問題が0点になり、偏差値上位校の受験を断念するように担任から迫られた生徒の、実際の答案を紹介します。さらに、明らかにおかしな採点について、私が市教育委員会、千葉県教育委員会と話し合った過程を公開したいと思います。

 日本の中学生の、本当の英語力を上げるために、また、頑張っている生徒が正当な評価を受けられるようにするために、公立高校入試の採点基準の公開について、皆さまに考えていただけたら幸いです。




@記述式問題で、1箇所でも間違えたら0点となった実例
  (2015.3)

 以下は、2015年1月、公立高校入試直前に、ある中学3年生が、ある公立中学校で受けた、実力テストの問題と解答です。その生徒は、ふだん英語で90点以下の点数になることはほとんどなく、「入試直前のテストで87点であった」ということと、「このような結果を踏まえ、担任の先生から、入試直前だというのに志望校の変更を迫られ、生徒は多いに混乱してしまった」こともあり、心配になって、私も採点してみました。そして、

  1.記述式の解答を、部分点を与えず、すべて0点で採点している。
  2.どこが間違えか、生徒にわかるように採点していない


というところに、大きな問題を感じました。

 以下は、0点と採点された記述式の問題6と問題7(2)の、問題用紙と解答用紙の実物画像です。皆様、どのように思われますか?







      











          


                



*問題6で、"looks like heavy" は、"looks heavy"とすべき(likeを使う場合は後は名詞)なのでマイナス1点。内容的には、"tell"より"ask"を使った方が良いかもしれないが、自由に考えてよい台詞なので減点なし。

*問題7(2)@"cut the cake into the three"は、厳密に言えば、"cut the cake into three"なのでマイナス1点。

*問題8は、明らかな間違いの解答で、マイナス4点。

 結果、94点となりました。もっと厳しく採点すべきかわかりませんが、このくらい、しっかりした英文を書けているのに、部分点もない採点をしていて、生徒のためになるのでしょうか。この生徒の話では、「一生懸命英文を書いても、ほとんど部分点をもらえないから、英作文の問題はやらないことに決めている。」と話す生徒もいるようです。


 この生徒の場合、塾にも通っていて、さらに保護者も英語ができるため、十分な励ましを得られ、最終的には担任の勧めに従わず、志望校に合格できました。高校に入ってからも英語の成績はトップレベルで、現在、東京外語大学に入学し、勉学に励んでいます。(2019.10)

 この生徒と違って、保護者が英語もできず、塾にも通えない生徒はどうなるのでしょう。先生方にとっては、長い教員生活の小さな問題かもしれません。保護者から見れば、学校の先生方は、自分の子供を預けている絶対的な存在で、間違いがあっても気づかなかったり、気づいても、意見を言うのは大変です。(一部、例外もあるようですが) 
このようなことは、「たまたま」起きたことかもしれません。しかし、生徒の側から考えれば、一生のうちの一度きりの高校受験です。このようなことが「一度でも起きては困る」と思います。

 英作文の指導は、生徒個別に対応する必要があり、とても手間がかかります。「模範解答を示して終わり」というわけには行かないはずですが、時間の関係で指導が行き届かないところもあるようです。しかし、テストは生徒個別の実力を測る良い機会です。解答の添削に細心の注意を払うなど、やり方次第で、生徒の本当の英語力向上に役立つのではないかと思います。
《書く力、話す力…日本人の英語力の実情》

 2015年3月17日付け、読売新聞の記事によると、
文部科学省の、全国の国公立の高校3年生約7万人を対象とした英語テストの結果で、「書く」力のレベルの低さが明らかになったとのこと。高校3年生の「書く」力のレベルは、準2級相当が12.8%、3〜5級相当が86.5%、そのうち0点が29.2%(約2万人)とありました。中学3年生対象のテストかと疑ってしまうようなレベルです。しかし、中学での指導の様子を考えると、納得できる数字です。(このテストの採点が、一箇所でも間違えたら0点でないことを祈りますが…)

 2020年7月22日付け、読売新聞の記事によると、TOEICを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会が公表した
「TOEIC S&W」の2019年の国・地域別平均スコアが、日本はスピーキングで19か国・地域中17位、ライティングは18か国中最下位だったとのことです。ライティングはタイ・韓国・中国にも及ばなかったとのこと。(各200点満点/受験者が50人以上の国・地域の平均点のまとめ/Sのトップはドイツの171点、日本112点/Wのトップはハンガリーの178点、日本132点)
 受験者数が示されていなかったので、数字としての信頼度に疑問は残りますが、
日本人の英語を話す力と書く力が低いということを示す1つの指標にはなると感じました。

 
参考:英文和訳・英作文の指導について


Aこの問題に関する、市教育委員会とのやり取り


1)市教育委員会からの回答(2015年4月、メール)

@実力テストとは;
生徒自身の学力を把握するためだけでなく、志望校選択における参考資料としても利用され、学校が独自に実施の有無を含め、業者の選定、実施回数等を設定。

A問題の実力テストは;
1.千葉県内でも多くの生徒が受けているもので、業者が作成、採点も業者。
2.
県内の多くの中学校でも実施している関係上、全県下で統一した基準に基づいて採点されており、部分点の設定はしていない(業者談)

B実際の千葉県公立高校の入試は;
英作文問題の採点基準については、各高等学校において統一された基準により適切に採点することになっており、学校によって、部分点をつけることも可能。

 今回いただきましたご意見をもとに、採点基準や実際の入試における部分点の配点の可能性についてなど、テストを受けた生徒に対して細かに説明をすることや、テストの結果を活かした指導の仕方についても工夫していくよう学校に伝え、外国語指導の改善と一層の充実に努めてまいります。



2)私からの質問とお願いの要旨(2015年4月、メール)

@ 「部分点の設定はしていない」など、信じがたいことであるが、説明いただいた現状を踏まえると、「部分点の設定はしていない」業者を、実力テストの作成および採点に使うところに、大きな問題を感じる。テスト作成および採点を行っている業者名の開示依頼。

A最終的に志望校決定時の1月以外の実力テストでは、部分点が付いている時もあり、どういうことか説明依頼。

 適切な対策をとれれば、教育はどんどん良くなると思います。しかし、問題が発覚した時、しっかり原因を究明しなくては、適切な対策をとるのは難しくなると思います。「採点基準や実際の入試における部分点の配点の可能性についてなど、テストを受けた生徒に対して細かに説明をすることや、テストの結果を活かした指導の仕方についても工夫していく」というのは、やって当たり前のことです。それが出来なかったのは、なぜなのかを考え、対策を立てなくては、またすぐに同様のことが起きる可能性があると思いますが、いかがでしょう。


3)上記に関する市教委の回答と私の考え
  
(2015年5月、市教委にて面会)

最終回答:
@業者名の開示は出来ないが、千葉県内のかなりの学校が使っている業者です。

A業者が採点する場合は、部分点を与えないことになっているが、問題のみ業者の物を使い、採点は学校で行う場合もあります。

B業者の話: 千葉県の場合は、公立高校ごとに採点基準が違い、部分点を与えない場合もあるかもしれません。そのため、業者が採点する場合は、部分点を与えません。部分点がつくかもしれない実際の入試と差を少なくするため、記述問題の配点を少なくするように配慮しています。


回答を得ての私の考え:
 先生方が特に忙しい1月に、1人1人の生徒に記述問題の添削をするのは、実際問題難しいと感じます。そんな中、千葉県では公立高校ごとに採点基準が違うので、業者が採点する場合、部分点を与えないということに、大きな問題を感じました。




B千葉県教育委員会とのやり取り

1)千葉県教育委員会へ出した私の質問など

  (2015年5月10日、県教委ホームページ内メールから)

 ある市立中学校の英語の実力テストで、記述問題に関し、「全く部分点を与えず、採点している」と言うことが分かり、大変問題に感じました。その実力テストは、「千葉県内でも多くの生徒が受けているもので、業者が問題を作成し、その学校の場合、業者が採点」していることがわかりました。業者の話では、「県内の多くの中学校でも実施している関係上、全県下で統一した基準に基づいて採点されており、部分点の設定はしていない。」という事だそうです。テストの結果が生徒の志望校選びを左右するので、保護者の方々からも、不満の声が出ていますが、この問題は、市教委だけで対処するのは無理と感じ、こちらにメールさせていただいた次第です。

@ 学校の実力テストに関して、業者に「採点の改善」を依頼できませんか。

A 各高校に、「自校の英語の記述問題の採点基準を公表」するよう、要請できませんか。解答の内容の善し悪しや高度な文法を正しく使えている場合の採点はどうするかなども含め、わかりやすく、「高校名と記述問題の採点基準一覧」を、ネットなどで、「多くの県民が閲覧」できるようにできませんか



2)上記に関して、千葉県教育委員会の回答
 (2015年5月19日、電話、県教委・指導課・学力向上室より)

 業者については、こちらからは、何も言えません。また、
千葉県では、英語の記述問題の採点基準を「公表してはならない」という事になっています。実際の公立高校入試でも、試験後に、教科別得点は口頭開示が実施されているので、全体の点数はわかりますが、記述問題の点数のみの開示はありません。
 学校ごとの採点基準で、部分点はしっかり付けられていると思いますが、「部分点を付けなくてはいけない」という規定もないので、部分点を付けない学校もあるかは、わかりません。

私の質問:
 「各校ごとに採点基準があることは納得できますが、せめて、≪大体の目安となる標準的な採点基準≫を、千葉県として公表することはできませんか。そうでなければ、業者だって、部分点のつけようがありませんし、生徒達の学習意欲を奪う事にもなりかねませんが、いかがでしょう。

県教委:
 担当者個人としては、お話はよくわかりますが、
「採点基準を公表してはならない」という規定がある以上、今のところ、どうしようもありませんが、貴重なご意見ありがとうございました。

私の質問:
 「採点基準」を公表している地域はありますか?差支えなければ教えてください。

県教委:
 
埼玉県は「採点基準」を公表しているようです。

参考:採点基準を公開している埼玉県
 平成27年度・埼玉県公立高等学校・入学者選抜/学力検査採点の手引き
     (埼玉県・教育委員会・ホームページからの抜粋)

私の考えとお願い:

 
目安となる採点基準が公表されていないということは、入試以外の普段の試験の記述式問題の採点にも、影響が出てしまうと思います。英作文の指導法が、先生によってまちまちになってしまうし、生徒の、英作文能力向上の意欲も削いでしまうことにつながるとも思います。さらに、採点ミスが起きても、十分なチェックができないことにもつながってくるのではないでしょうか。  採点基準を公表または設定を依頼するには、どの部署に連絡を取れば良いのでしょうか。

***関連記事、2015年6月9日読売新聞***

「都立高 採点ミス1064件」(2015年春実施の都立高校の入学試験)

 
 東京都立高校の入試では、2014年まで、記述問題について、部分点の基準を各校で決めていたが、2015年実施の入試では、都教委が詳細な基準を設定した。採点ミス1064件中1004件が記述問題、そのうち874件は、「誤字・脱字があった場合は減点する」との基準が徹底されていなかった。
 都教委幹部は、「マークシート方式を全校に導入することで、記述問題の採点により集中できるようにしたい」と話している。

 これについては、
採点基準を公開している東京都に、東京都教育委員会からの情報も詳しく載せているので、ご覧ください。



C上記に関して、千葉県教育委員会の最終回答
   (2015年6月2日、電話、県教委・指導課・学力向上室より)

@千葉県教委としては、埼玉県のように、記述式問題に関して、統一の採点基準は設けていません。採点基準を設けるかどうかは、県教委で決めますが、各学校ごとに採点基準を設けることが、学校にとっても生徒にとっても良いと考えているからです

A「学校ごとの採点基準を公開できませんか?」という質問に対し;
学校ごとの採点基準が分かってしまうという事には、いろいろと問題があるので、できません。

B「学校名を公表せずに、採点基準を公開できませんか?」という質問に対し;今のところは難しいと思いますが、貴重なご意見として承ります。

C
千葉県教委としては、入試採点上の注意として、「各学校においての統一した基準により、適切に採点すること(部分点可)」と、はっきり示しています。ですから、統一の採点基準を設けていないからと言って、「業者が部分点を与えない」ということに免罪符を与えているとは、考えていません。



D最終回答を受けての私の考えと,、各所に出した要望            (2015年6月7日

1)私の考え (最終案)

 一市民がここまで調べて、意見をまとめるのに、相当な時間を費やしました。読んでいただいた皆さまには、心から感謝申し上げます。

 「自分から話せる英語」につながる能力を正しく測るには、現状では、この「記述式問題」しかないと思います。(整序問題や穴埋め問題で測るのは無理) しかし、このような問題を解くのは、今の日本の生徒達が、最も苦手としている能力です。そんな中、埼玉県教委や東京都教委の対応を知りました。

 記述式問題の採点には、採点者の十分な英語力が求められます。しかし、その能力を備えた採点者を揃えるのは大変でしょう。そんな中、「統一の採点基準を設けない」「採点基準は非公開」という千葉県教育委員会の対応は、理解に苦しみます。採点基準が示されていなければ、採点業者だけでなく、中学校の先生方にとっても、良いこととは思えません。(採点者の裁量に任される不公平感、基準がない採点で余計な時間がかかるなど。)

 ますます進む国際化とIT社会の中、「公立高校入試は、統一採点基準を作り、採点基準は公開すべき」というのが、私の最終的な見解です。



2)千葉県教委への要望


  
今すぐにでも、公立高校入試の英語の記述式問題の、県内統一採点基準を作成し、公開してください埼玉県や東京都の対応を見る限り、基準の作成と公表で、マイナス点は、何も見出せません。採点する側から見ても、難しい記述式問題です。統一の採点基準が示されることで、移動がある教員の方でも、より適切な採点ができるようになると思います。生徒側も、英作文を作る際、「どこに気を付けるべきなのか」を、塾に行かなくても、理解できるようになると思います。「点数を取れない記述問題には、取り組みもしない生徒」の数も、減らせるのではないでしょうか。業者が、「採点基準が公表されていないから」という理由で、馬鹿げた採点をすることも、避けられると思います。


3)市教委への要望

 このページで示した生徒の例を見て、「大変な問題であった」と強く感じていただきたいです。これは、1人の生徒の分かり易い例を示しただけで、この生徒だけではなく、市内多くの生徒が被っている問題なのですから。そもそも、「県統一の採点基準がなく、公開もされていない」ということは、市教委では対処しようがない問題です。今からでも、私のような個人ではなく、市教委から県教委に報告し、改善を促していただきたいです。今対処しなければ、また同じことが起きるのではないでしょうか。

《県教委の考えが変わらない場合、市教委に対処いただきたい事》

@業者に、部分点を付けてしっかり採点するように要望を出す。
  業者に直接指導する立場ではない、県教委が、「業者が部分点を全く与えない採点をしていることに、不快感を示している」ことが分かりました。実際、業者を使っている学校および市教委は、このことを踏まえ、生徒のためにも、業者に注文を付けていただきたいです。

A生徒と保護者に「実力テストでは、部分点を付けない」という事を周知する。
  このような採点を見て、生徒や保護者の間では、「どうして実力テストの採点で、部分点がつかないか。」「英語もわからない数学教師の担任がこの採点をしているのでは?」など、変な憶測が飛び交っています。学校側と保護者側の信頼関係を壊さないためにも、事前に伝えておくべきことと思います。ただ、そんなことを伝えては、英語に堪能な保護者からは、質問や抗議が増えるかもしれませんが、そうなった時「やはり、これではいけない」と思ってください。

 
問題が提起された時に、有効な解決策を見出すのは、市教委の役割と思います。今までも、「各中学に指導はするが、最終的には、各学校や各教員に任せる」というような姿勢で、問題は全く解決して来ませんでした。いろいろご多忙とは思いますが、市教委には、指導力を発揮し、解決策を示して頂きたいです


4)上記に関して、文部科学省へ出した私の質問など
 (2015年5月1日、文科省http://www.mext.go.jp/mail/外国語教育へ送信)

  文科省が昨年夏に行った高校英語の「書く」力を判断する問題は、正しく採点されていますか?
  文科省が昨年夏に行った全国の国公立高約480校の英語テスト結果で、「書く」の9割近くが「5〜3級」の中学レベルで、さらに、全体の29%の生徒が0点と新聞で読みました。問題の形式はわかりませんが、「書く」は記述式でないと正しい判断ができないと思いますが、どのように採点されたか、特に部分点がついているか、採点基準はどのようになっているかの問い合わせです。
  千葉県のある公立中学では、業者(市教委の話では、千葉県の9割近くが使っているとのこと)が作成する学力テストを採用していますが、1箇所でも間違えがあれば、0点と採点されてしまいます。業者の話では、「入試では、各学校において統一した基準により採点する。部分点を付けない学校もある。採点基準が学校によって違うため、実力テストでは、部分点は与えない。」とのことでした。ある程度、良く書けている英文も、少しのミスで0点と採点されてしまいます。これが、本当に「会話力向上」につながるのでしょうか。
  「書く」問題の採点基準をどのようにすれば、生徒の英語力向上に資するのでしょう。基準が既に出ているなら、どこを見れば良いか、教えて頂けると幸いです。



*2015年5月21日現在、回答なし。千葉県教委の回答も踏まえ、「すべての自治体に採点基準を公開するように指導できないか。」という、質問も付けて再送。
→2015年12月31日現在、回答なし



5)群馬県でも採点基準非公開!

 2017年3月2日に、群馬県の高校入試情報を中心に記事を配信している地域メディアみんなの学校新聞」の中の、【公立後期入試】採点基準の現場を歩く  という記事の中で、私の意見を引用いただきました。群馬県でも採点基準の公表をしていないということで、情報公開の流れが浸透していくことを願うばかりです。




E2017年、この問題のその後と私の考え

2017.8.30 千葉県教委宛てに出した質問 (メールにて)
 2015年5月にも、千葉県立高校入試の英語の記述式問題の採点基準を公開してくださるように、要望を出しました。《中略》あれから、どうなったかお聞きしたく、メールしています。群馬県でも採点基準の公表をしていないということでしたが、情報公開の流れが浸透していくことを願うばかりです。

2017.9.5 千葉県教育庁教育振興部・指導課・学力向上室より 回答 (メールにて)
 以前の回答の繰り返しになりますが,
英語学力検査の記述式問題は,県全体で統一した採点基準は設けておりません。採点上の注意に「各学校において統一した基準により適切に採点すること。[部分点可]」と明記しています。このことについては,引続き御意見として承ります。

2017.9.5 私の考え

千葉県の公立高校入試では、埼玉県や東京都に倣って、「統一採点基準を作り、採点基準を公開すべき」と思います。

 学校の先生方にとって、生徒の志望校相談というのは、長い教員生活の一瞬の出来事かもしれませんが、一人の生徒にとって、高校受験は一生に一度のことです。だからこそ、「志望校を決める学校の実力テストで、採点基準が明確でないから、記述式問題に部分点が与えられず0点にされ、担任に志望校の変更を迫られる」というようなことは、あってはならないことと思います。

 さらに、上にも書きましたが、2015年の文部科学省調査では、高校3年生でさえ、「書く」力のレベルは、3〜5級相当が86.5%、そのうち0点が29.2%とありました。 「自分から話せる英語」につながる能力を正しく測るには、現状では、「記述式問題」しかないと思います(整序問題や穴埋め問題で測るのは無理)。 しかし、記述式問題の採点には、採点者の十分な英語力が求められます。今の日本で、誰もが満足のいく採点者を揃えるのは、かなり難しいことと思います。

 このような状況下で
各校が、高校入試で設けている採点基準がバラバラでは、模試で採点する業者や先生だけでなく、中学で英作文指導をする先生方にとっても、指導がむずかしくなるのではないでしょうか。基準がなければ、採点する際、余計な時間がかかり、指導する際も、生徒に注意点を示す根拠が明確でなくなってしまいます。採点基準が不明確だから、記述式問題に部分点をつけない業者が現れたり、「どうせ0点なら、記述式問題はパスする」というような生徒が出てくるのです。

 
先生方の指導力を一律に上げるのはむずかしくても、
統一の採点基準を設け、それを公開することは、ずっと簡単で有意義なことと思います。

なぜ、千葉県では、公立高校入試の統一の採点基準を作らず、非公開なのか?失礼を承知で、考えてみました。

今回の件では、英語の先生・担任の先生の対応、採点業者の資質、千葉県の採点基準非開示の問題など、色々なことが絡んでいることがわかりました。問題解決は容易でありません。しかし、すぐ解決できることが1つあります。それが、「公立高校入試は、統一採点基準を作り、採点基準は公開する」ということです。

 埼玉県のように、熱心な県議会議員の方が、議会に改善を提案し、県議会で話し合われたというのは、羨ましい話です。ただ、県議会議員の方、さらに県の教育委員会の方々の中に、英語が堪能で、県内の英語教育にも精通していらっしゃる方は、いったいどのくらいいらっしゃるのでしょう。日本人にとって、英語は特別な教科と思います。多くの人が英語が堪能ではないのですから、教科書選定同様、素人では、理解できないことが多いのではないでしょうか。

 私自身、通訳案内士の資格も持ち、小学校から大学受験生までの生徒を11年指導した経験があります。しかし、英語が堪能と言える水準には至っていないと思っています。普段、英語を使わない環境にいる日本人には、仕方のないことかもしれません。そんな中、「採点基準非公開」を訴えている方々の英語力の水準は、どのくらいの物なのか、失礼ながら考えてしまいます。私が在住する市の教育委員会・学校教育課指導室には、数年前まで、英語担当の方は英語教育の経験のない方でした。4〜5人ほどで、市内8小学校と5中学校を見ているので大変だということでした。その人手不足加減が大変だと思いました。現在、1名は元英語教員の方が入っていますが、1名だけが英語をわかっている状況で、いったい、何ができるのでしょう。そこで、思い至ったのは、千葉県教育委員会でも、県内の英語教育の状況を踏まえ、効率的な英語教育行政に結び付けられる方は、十分な人数いらっしゃるのかと言うことです。

 これだけのことを調べても、一市民の訴えは、門前払いです。「採点基準公開要望」について、本当に会議をし、真剣に考えてくださっているとは思えません。 「統一の採点基準を設けない」「採点基準は非公開」という千葉県教育委員会の対応は、本当に理解に苦しみます。一番不利益を被るのは、生徒たちです。本当に、残念です。



F中学校の英語の先生方へ

 学校の先生方は、多様化する生徒を相手に、大変であることは重々承知しています。一般企業と違い、著しい成果を上げても、昇給はおろか、正当に評価されないことも多々あるという話も耳にします。しかし、子供たちは、学校の先生方から、非常に大きな影響を受けます。一部の生徒としか接しない塾講師などとは違います。日本の将来が、先生方の肩にかかっていると言っても過言ではないと思います。

 英語は他の学問とは違い、指導次第で、勉強が苦手な生徒でも、楽しく学ばせ、簡単な英会話をできるようにさせることは、不可能ではないと思います。塾講師をしていて実感しました。どうぞ、効率的に英語を学べる方法を、生徒達に教えてあげてください。中学レベルの英語はそれほどむずかしくなく、中学でレベルの英文法というのは、英会話をする上でとても役立つということを、生徒たちにお伝えください。

 中学で、どの位のレベルの英語力を身に着けられるか、高校受験だけでなく、大学受験、そしてその先にまで、大きく影響していることを実感しました。優秀な理科系の人材が、英語ができないために、英語での論文作成などに苦慮し、国際社会に出て行きにくいという話も聞きます。どうか将来を担う生徒達が、たかが英語のために道を閉ざされないように、十分な英語力をつけられるようにご尽力ください。塾の講師の力など、微々たるものです。学校の英語の先生方のお力が、何より必要です。


     以上