英語教材の選び方

 今、数限りない英語関連教材が世に出回っています。本屋さんに行くと、英会話や英語習得のための関連教材は、勉強法や攻略本など、本当にさまざま出ています。どれを選んでよいかわからず、「結局選びきれずに帰ってくる」という経験はありませんか?

「英語を学ぶためのやる気はあるけれど、どれを選んだらよいかわからない」…帯に短し、襷に長し…私もたびたび経験しました。


 教材選びに迷った時、選ぶ前に、以下の3点について、まずよく考えてみてください。当たり前のことと思われるかもしれませんが、意外と大事なことです。

①自分の今の英語力は、どのくらいのレベルなのか。

 実は、ここを冷静に見きわめることが大事です。過大評価も過小評価もよくありません。英単語集を選ぶ時も、問題集などを選ぶ時も、
自分にとって難しすぎれば、どんなに評判の良い教材も、すぐ嫌になってしまいます。

 また、英会話用教材の例文などのまとめでも、読み方がわからない単語が多ければ、使いこなすのは大変です。むずかしそうな単語の発音記号が載っているもの、発音記号が分からない人は、カタカナで読み方が書いてあるものを選びましょう。音声教材付きのものもありますが、聞くことを習慣化できない人には宝の持ち腐れになってしまいます。人の意見に惑わされず、自分が購入して続けられるかどうか、考えて選びましょう。


参考:
中学2年~3年レベル…英単語、英熟語の覚え方 
     …
英検3級に合格している人も必見!

参考:
中学3年~高校レベル…辞書の引き方、英単語・熟語の習得法


②自分の学習の、一番の目的は何か。

 英語の技能は、「読む、聞く、書く、話す」に大別されますが、「読む・聞く」と「書く・話す」は両極端の技能です。前者は受動的、後者は能動的だからです。書かれた教材で、この「書く・話す」という能動的な技能を身に着けるのは大変ですが、英会話習得には必要なこと
英会話力向上を目指している方は、以下をご覧ください。
 英語を話せるようになりたい方


 いくら英会話と言っても、結局「読む・聞く」の技能は必要です。その技能向上に必要な教材については、以下、目的別に簡単にまとめます。

 英語学習の目的が、高校受や大学受験を乗り越えるためであるならば、志望校の過去問でどのような問題が出されているかまず確認しましょう。英語が全般的にできることと、志望校の受験問題を解けることは微妙に違うのです。その微妙な違いが、合否を分けてしまいます。

 海外の大学に留学するレベルの英語を勉強したいならば、TOEFL対策の教材を学習しましょう。教育関連の用語も必要になってきます。

 就活やビジネスで英語を使うならば、TOEIC対策の教材を学習しましょう。ビジネス用語は、学校で習う英語とは違いますが、基礎力があれば、覚えるべき単語や用例は意外と限られてきます。

 漠然と、英会話を上達させたいという方は、以下をご覧ください。


③自分が目指す英語力は、どのくらいのレベルなのか。

 受験、特に大学受験などは、志望校によって求められる英語レベルも千差万別です。よって、評判の良い教材、むずかしいことまで扱っている教材が、必ずしも良いわけではありません。良い教材は、その人の英語のレベルと志望校によって違ってくるのです。センター試験で良い点をとるのと、早稲田大学の受験問題で良い点をとるのとは、勉強の仕方が変わってきます。(2015年時点)

 漠然と、英会話を上達させたい場合、特に考えておくべきことは、どの程度の会話力が必要なのかです。とりあえず、日常会話ができればよいのであれば、簡単な会話の用例集が掲載されている教材を選び、丸暗記してしまうと役立ちます。もし、時事問題まで英語で話したいのであれば、英字新聞を読んだり、英語ニュースが理解できるようになる教材が必要でしょう。



 「これで英語が話せるようになる!」というような、安易な広告に惑わされず、上記の①~③をしっかり考えたうえで、教材を選んでください。

 さらに、人の感性というのは、当然人それぞれ違うもの。
「これがお勧め!」と言う言葉に惑わされず、必ず自分の目で確かめ、やる気の出る教材かどうか、吟味することも忘れないでください。



 ここからは、私が、ネットや本などで見つけた、「使える英語」のために役立ちそうな、アドバイスや教材を、紹介したいと思います。


大変申し訳ありませんが、現在、本をじっくり吟味する時間がありません。目についた、先生方のお言葉から、「使える英語」のために役立ちそうな部分を、勝手に抜粋させていただき、ここにアップさせていただきます。公開されているものなので、無許可です。ご了承ください。




ベネッセの「GTEC」のHP、レベル別勉強法より、
「田中茂範先生による英語学習法アドバイス」より抜粋

国際社会におけるコミュニケーション能力とは

 1990年ごろ “World Englishes” という概念が大きな反響を呼びました。ポイントは固有名のEnglishが複数形になっていること。これは、世界の共通言語として多種多様な様相を見せる英語が固有名詞ではおかしいという考え方を表しています。 たとえば、中東の要人の英語力は非常に優れています。しかし、彼らの英語は決してアメリカ式でもイギリス式でもない。そのような英語に触れたとき、理解に苦しむようではコミュニケーションを図ることができません。英語はもちろん、普段のさりげない風習ですら異なります。まずは、頭のなかから「英語はこうだ」「これが常識だ」といった思い込みを捨てること。それが、国際社会に通用するコミュニケーション能力育成へ向けた第一歩と言えるでしょう。


英語の基盤を固めることが「使いこなす」ための基本

 では、英語を「使いこなす」ためにはなにが必要なのか──私は300~500語の基本的な単語(名詞を除く)、いわゆるFundamental Wordsをしっかりマスターすることと考えます。それが英語活動の基盤(foundation)となるからです。たとえば putという単語があります。ある大学生に「目薬をさす」という言葉の表現を設問したところ、その学生は表現できませんでした。put eye drops in one's eyesと表現することができます。 あるいは「軟膏を傷に塗る」という言葉。これも put some ointment on the wound と表現できるわけです。ほかにも「猫を外に出す」だと put the cat out、「水道の蛇口に手をかざしなさい」だと Put your hands under the water.というように putの活用範囲は非常に広い。単に「置く」という意味や熟語の一部としてしか認識していなければ、使いこなすことはできないのです。

 つまり、英語を「使いこなす」こととは、基本的な単語を「使い分ける」ことであり「使い切る」ことなのです。 このような語彙力の強化が、コミュニケーションにおける表現力を豊かにします。
何万語という言葉のボキャブラリーよりも、まずは「基本語力」を身につけること。そして、それを自覚しながら勉強することが非常に重要です。基本語力を身に付けるさいの鍵となるのが、「コアをおさえる」ということです。コアとは語の本質的な意味のことで、英語感覚のようなものだと考えておくとよいでしょう。 put のコアは「何かをどこかに位置させる」といったもので、何をどこに位置させる(putする)かによって日本語にした場合の意味合いが異なるのです。put a stamp on the envelope のように切手を封筒の表面に put すれば「切手を貼る」、put a letter in the envelope のように手紙を封筒の内部にput すれば「手紙を封筒に入れる」となるように、です。

 文法なくして英語が話せるということは絶対にないのです。というのは、意のままに表現を紡ぐ力(状況に応じて英文を編成する力)が文法力だからなのです。
 一見、「語彙と文法を強調する」といえば、古めかしい英語教育の響きがあるかもしれませんが、実は、英語力という点において、正鵠を射た考え方なのです。この語彙力(特に基本語力)と文法力を養うためには「日常的に触れる英語の量と質」「実際に使う英語の量と質」「英語を使う必然性」──この3つの条件を満たす学習環境を整えることが求められます。


自分に必要な英語とは?

  いまでは多くの企業で当たり前のように語学研修が導入されていますが、その研修が果たして「企業の利益につながる」ものであるかを見つめ直す必要があるのではないでしょうか。 たとえば、技術者として海外に赴任するスタッフに対して、レストランでの注文方法といったレッスンがどれほどの意味を持つのか──重要なのは、ひとりひとりのニーズ(タスク)に応じた具体性のある研修を行うことです。



田中茂範先生: 慶応義塾大学湘南藤沢キャンバス環境情報学部教授。英語教育の実践に根ざした言語論、コミュニケーション論を展開中。「Eゲイト英和辞典」(代表編者:ベネッセコーポレーション)、「文法がわかれば英語はわかる」「キーワードでわかる単語帳」(NHK出版)など著書多数。








     
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