では、英語を「使いこなす」ためにはなにが必要なのか──私は300~500語の基本的な単語(名詞を除く)、いわゆるFundamental Wordsをしっかりマスターすることと考えます。それが英語活動の基盤(foundation)となるからです。たとえば putという単語があります。ある大学生に「目薬をさす」という言葉の表現を設問したところ、その学生は表現できませんでした。put eye drops in one's eyesと表現することができます。 あるいは「軟膏を傷に塗る」という言葉。これも put some ointment on the wound と表現できるわけです。ほかにも「猫を外に出す」だと put the cat out、「水道の蛇口に手をかざしなさい」だと Put your hands under the water.というように putの活用範囲は非常に広い。単に「置く」という意味や熟語の一部としてしか認識していなければ、使いこなすことはできないのです。
つまり、英語を「使いこなす」こととは、基本的な単語を「使い分ける」ことであり「使い切る」ことなのです。 このような語彙力の強化が、コミュニケーションにおける表現力を豊かにします。何万語という言葉のボキャブラリーよりも、まずは「基本語力」を身につけること。そして、それを自覚しながら勉強することが非常に重要です。基本語力を身に付けるさいの鍵となるのが、「コアをおさえる」ということです。コアとは語の本質的な意味のことで、英語感覚のようなものだと考えておくとよいでしょう。 put のコアは「何かをどこかに位置させる」といったもので、何をどこに位置させる(putする)かによって日本語にした場合の意味合いが異なるのです。put
a stamp on the envelope のように切手を封筒の表面に put すれば「切手を貼る」、put a letter in the
envelope のように手紙を封筒の内部にput すれば「手紙を封筒に入れる」となるように、です。