1. 私の実際の受験履歴
2. 一次試験・筆記試験の対策
①日本の歴史と日本の地理について
②一般常識の試験について
③英語の筆記試験について *私の二度目の挑戦の裏話
3. 二次試験・面接の対策
①面接試験の全体的な注意点と対策
②実際の試験の様子&私の場合
会場の様子 通訳パート プレゼンテーション 質疑応答 最後に
JNTO全国通訳案内士試験概要 (公式)
↑こちらから、筆記試験の過去問のページへ飛べます。
1. 私の実際の受験履歴
私が初めて通訳案内士試験に挑戦したのは、平成27年(2015)度です。日本の歴史、日本の地理、一般常識は合格したのですが、なんと英語の一次試験が不合格で落ちました。英語の学習サイトを運営している者として、「なぜ英語で~~!?」と、ただただ、恥ずかしい限りでした。
平成28年(2016)度、前年の一次試験の結果は、2年間有効なので、一次試験は英語の筆記だけの受験となり、少し有利だったと思います。ただし、試験では凡ミスを連発し、合格点に達していないと思い込み、約3か月後の二次試験対策が遅れました。一次試験も二次試験もドタバタで、こんなんでよく合格に至ったな~というのが正直な感想です。これから受験する皆さまが、こんなことにならないように、私の情報が少しでも役立てばと思います。
2. 一次試験・筆記試験の対策
①日本の歴史と日本の地理のについて
…両科目とも正答率70%以上が合格の目安
私は、学生時代は理系科目が得意だったため、日本地理などは、大の苦手でした。日本史も、戦国時代など、時代劇に出てくるような話には、興味があったのですが、年代を覚えたり、文化の名前を覚えたりは特に苦手でした。そんな私が英語以外の教科に一発合格したのは、奇跡としか思えないのですが、歴史・地理の苦手な方への参考になればと思い、実践した対策を書きます。
歴史も地理も、まずJUTOのサイトで過去問をやってみて、どのような問題が出ているか、傾向を確認しました。どちらも、写真を使った問題が多いので、高校で使うようなビジュアル・バージョンの日本史の教材を1冊(地図・年表・各時代の代表的な絵画や建造物などが載っているもの)が家に残っていたので、その1冊を使うことにしました。文章だけの教材では、やる気も起きないので…。また、学校の勉強では、歴史は歴史、地理は地理と、境界線が明確でしたが、図解のある資料だと、ある程度、歴史と地理を同時に勉強できて効率的と思いました。例えば、歴史的建造物がどこにあったのか、水運が重要な交通手段だった時代、どの川沿いに町は発展したのかなど見ていくと、ただ暗記するだけでなく、興味深く学ぶことができます。
実際の試験では、やはり写真や絵画を示しての問題が多かったため、写真や図解が多く載っている教材はかなり役立つと思いました。
日本の歴史の勉強:
初めは、JUTOの過去問で出てきた寺院や出来事についての説明を読んだり、年代や時代背景を確認していきました。そうやっていくと、日本の文化や外国と日本の歴史的なかかわり(特に江戸時代以降)についての出題が多いなど、なんとなく出題傾向がつかめてきます。
出題傾向がつかめてきた後は、古墳時代・飛鳥文化・白鳳文化と、時代の流れに沿って、写真や年表で確認しながら、学習していきました。私は覚えが悪いので、覚えられないところはメモ帳に書き込み、何度も読み返して覚えるようにしました。例えば、「710、平城京、北・玄武、南・朱雀、西・白虎、東・青龍」などです。(方角の守護神は当時重要だったようで覚えることにしたのですが、実際試験でも出て、驚き?でした。)スマホのメモ帳機能を使っても良いのかもしれませんね。私は紙のメモ帳派ですが
日本の地理の勉強:
やはりJUTOの過去問を参考に勉強しました。山・川・都市名などの知識も乏しかったので、歴史の勉強と合わせながら地図帳で場所を確認するなどの作業も役立ったと思います。知らない地名が出てきたら、地図帳やGoogle Mapなどで、たどっていく習慣をつけておくと良いかもしれません。その際、距離を頭に入れておくと、さらに良いと思います。
国内の世界遺産や国立公園、観光地、歴史的建造物、日本の祭りなど、大学受験の地理の問題とは異なる問題も多いです。普段からこれらに興味を持ち、実際に行くのは無理でも、ネットなどを使って調べてみると、写真付きで確認できるサイトも多いので、楽しみながら勉強できると思います。そのためには、やはり、早くから勉強に取り掛かることが重要と感じました。
いろいろ勉強していくと、学生時代とは異なり、日本についての色々な発見があり、国内を旅してみたくなりました。例えば、日本の現存天守12のうち、国宝となっているものは現在5つ。松本城と姫路城には行ったことがあったのですが、残りの犬山城・彦根城・松江城には、勉強し始めてから行ってしまいました。どれもそれぞれ個性があり、本当に行ってよかったと感じました。通訳案内士の勉強は、改めて、自分の物の見方を豊かにしてくれたと感じます。…完全に余談(汗)
《実際の受験時》 実際の問題は、私にはすごくむずかしかったのですが、記憶が「完璧」でなくても、持っている知識を結びつけ、消去法式で絞っていくと、何となく正解が導き出せる問題も結構ありました。問題を解く時は、むずかしいと思っても焦らずに、勉強してきた自分を信じて、解いてみてください。
②一般常識の試験について
…正答率60%以上が合格の目安
一般常識については、普段から新聞など読んでいるだけで、5割程度の問題は解けるような気がしました。国別外国人の来日者数の問題は、毎年出題されているようなので、ここに関しては、しっかりと調べておく必要があります。国土交通省の観光白書は、出題率が高いということなので、「このページの受験年に近い年の概要を読んでおくと、かなり役立つ」という情報を、受験日間際にネットで見つけました。 しかし、私は地理と歴史の勉強が大変で(まともに詰め込み勉強したのは一か月ほど)、一般常識は、過去問の見直し程度しかできませんでした。 早めに勉強を始め、重要なポイントは、もう少し早めに絞っておけば良かったと、反省しました。
《実際の受験時》 国別外国人の来日者数を覚えたと思っていたのに、直前で、中国・台湾・韓国の順番に自信が持てなくなり、焦りました。(2013年度と2014年度では異なっていたので…) 記憶と言うのは、やはり曖昧。間違いやすいものは、直前まで確認できるように、メモの準備が必要だったと痛感しました。(当日会場に、そのメモを持って行くのを忘れたという大失態) 実際ガイドの仕事をする場合も、やはり同様なのかと思います。
③英語の筆記試験について
…正答率70%以上が合格の目安
英語の学習サイトを運営している者として、英語の筆記試験で落ちてしまうとは、恥ずかしくて誰にも言えない…まあ、ここでもまた言ってしまいました しかし、ここでわかったのは、通訳案内士試験の英語の筆記に合格するためには、英語力があるだけではダメということです。逆に、本当に英語力のある人は、英検1級やTOEIC840点以上など、一次試験が免除になる資格をあらかじめ取っておいた方が良いと思いました。
実は、私が最初に受験した平成27年度は、前年から試験方式が大幅に変更され、記述式からマークシートになりました。大学入試の問題などと比べ、英文は平易で簡単そうに見えます。しかし、かなりの引っ掛け問題になっていて、記述式で自分で英文を書けていたら、どんなに受かりやすかったかと、正直思ってしまうほどでした。クイズ形式の問題が好きか嫌いか、人によってだいぶ違ってくるとは思いますが…
合格するためには、日本の観光地、固有の文化や伝統的な品物などについての正確な知識を持ち、それをしっかり説明できる英語力が必要です。例えば、「蹲踞つくばい」「歌舞伎者かぶきもの」について、英語で正しく説明しているのはどれかを問う問題が出ます。引っ掛けのような表現もあり、しっかり勉強していないと、ミスしてしまうと思いました。
写真や言葉について、最も適した説明の仕方を選択する問題で、松江市の地図と湖の写真(宍道湖とは書いていない)がありました。「日本で7番目の大きさの湖で、シジミで有名」ということを知らないと、解くのがむずかしかったです。間違った選択肢の中に、"a
salt lake"という言葉の入ったものがあり、実際、宍道湖は汽水湖(brackish lake)で有名なので、塩水湖の一種?と迷ったり、ただ、ウナギの養殖が主要産業と書いてあって、「最近そうなった?そんなわけないか?」など、迷い出すときりがなく…。
説明文は、ほんの少し違う場所や物についてを説明した文章をそのまま選択肢にしているものもあり、よくわかっていないと選ぶ時にかなり迷います。(私の場合はですが…) TOEICやTOEFLの試験で出てくる英語とも違います。
また、日本語の文を英訳する問題でも、選択肢の文章に「ありそうな英文」が並んでいます。現在形であるべきところを過去形にしているような、ちょっとした文法ミスを入れて引っ掛け問題になっているものもあるので、注意が必要です。公開されている過去問で、練習しておくことがおすすめです。
《実際の受験時》 気を付けた方が良いと思うことは、各問題に記載されている配点をまず確認し、配点の大きな問題を重視して、確実に点数を取っていくということです。配点の少ない問題でも、解くのに時間がかかるものもあります。私の一度目の挑戦では、そこに時間をかけ過ぎて失敗しました。
英語力に相当自信がある人も、合格基準の7割を取るためには、あらかじめ、それなりの勉強が必要でしょう。こちらのサイト観光についてでも紹介していますので、参考にしてください。やはり、外国人に、日本の伝統的文化や名所などを紹介することに興味がある人が有利で、逆にそういうものに興味がない人が、英語力だけで合格しようとするのはかなり大変と感じました。
平成28年(2016)度・私の二度目の挑戦の裏話:
ものすごくバカな話なので、お暇な方以外、赤字の部分だけご覧ください。
一次試験の結果は、2年間有効なので、2年目は英語だけを勉強でき、かなり有利な条件でした。しかし、直前は、リオデジャネイロオリンピック中だったり、大好きなSMAP解散報道があったりで、勉強に集中できない日々が続き、「やっぱり自分はダメ人間だな~」と思いながらの受験でした。
実は、試験を終えた後、凡ミスが多くあり、さらに、試験会場の外で配られていた広告「ESDIC英語能力開発アカデミー」のHPに、解答速報がアップされるのを知り、答え合わせをしたところ、自分の点数は66点で不合格の水準ということがわかりました。相当落ち込みました。ところが、なぜか一次試験は合格。後でわかったことですが、その合格速報の解答は2カ所の間違えがあったのです。
実際の得点は、たぶん71点(それでもギリギリ…)。私は、落ちてしまったと思っていたので、10月にネットで試験の合否を確認できるにもかかわらず確認しませんでした。11月に封書の通知が来たのですが、開けるのが怖くて、三日ほど寝かしたという… そして、合格したのがわかったのは、2次試験の3週間前でした。喜びも束の間、2次試験の対策をする期間がほとんどなく、かなり焦りました。
合格ギリギリの点数しか取れなかった自分が一番悪いのですが、「合格速報は誤りがあることもある」ということも、頭に入れておくべきと思いました。
3. 二次試験・面接の対策
2次試験は、受験者1名に対し、ネイティブの外国人試験官1名と日本人の試験官1名の、1対2の形式で行われます。
試験は、日本人の試験官が読み上げた日本語を英語に直す「通訳パート」と、3つのお題から1つを選び、その言葉について説明などをする「プレゼンテーション」、さらに、ネイティブとの「質疑応答」の3部門に分かれています。簡単な挨拶から始まって、すべての試験が終了するまでに、15分くらいです。
私の場合は、雰囲気の飲まれて、かなり緊張しました。2016年12月4日、東京の品川で、私が実際に受けた二次試験の様子とともに、役に立つと思われる試験対策を紹介したいと思います。
①全体的な注意点と面接試験の対策
*通訳パート
①唐突に、初めて聞く情報を通訳しなくてはなりません。メモを取ることは可能ですが、すべての言葉をメモするのは厳しいです。地名、年代、数字など、間違えてはまずいキーワードだけをメモすると、良いと思います。
②日本語の読み上げが終わってから通訳開始前に、30秒ほど時間があるので、まず、全体の構成を考えてから、通訳を始めましょう。一語一句、間違えなく通訳する必要はありません。ポイントを押さえておくことが大切です。
③日本語表現がむずかしめの事もありますが、英語に直す時は、できるだけシンプルな言葉を使い、コンパクトな表現を心掛けたほうが、伝わりやすいです。
④試験対策:1文ずつの逐語訳ではないので、英語に自信があっても、慣れていないと、うまくまとめられません。観光関連の文を誰かに読んでもらって通訳するか、テレビやネットの観光関連番組を録画しておき、使えそうな部分を通訳するなど、あらかじめ練習をしておくと良いと思います。その際、試験を想定し、メモの取り方を練習することもお忘れなく!
*プレゼンテーション
①3つのお題から、1つを選んで、プレゼンテーションを始めるまで、30秒くらいしか時間がありません。プレゼンテーション後の質疑応答も、プレゼンテーションをした言葉に関連をあることも聞かれるので、自分がなるべく多くの事を話せるお題を選ぶと良いと思います。
②プレゼンテーションの時間は2分程です。長いようで短いです。言葉を選んだら まず、その言葉の何について話すか、3つほどの展開を考えておくと良いでしょう。もし、試験で出されたお題を説明する自信がない場合は、慌てずに、説明できる部分を膨らませるような方向で、3つほど展開を考えて、プレゼンを始めましょう。
③試験対策:今まで出されたお題は、ネットで検索すると出てくると思いますが、多岐に渡ります。「風鈴」「冬至」「浮世絵」「忍者」…漠然とはわかりますが、2分程度で説明しろと言われても、相手にわかりやすく伝えるというのは、意外とむずかしいです。知り合いのカナダ人の話では、彼らは学生時代から、プレゼンには慣れ親しんでいるようで、練習の仕方を教わりました。以下、参考にしてみてください。
プレゼンテーションの練習方法
①ブレイン・ストーミングのような要領で、選んだお題に関して思いつく、あらゆることを書き出してみる。
②書き出した中から、3つの事柄を選ぶ。
③選んだ事柄について、手短な説明や展開を考える。
④最後に、そのお題について、話をまとめる一文を考える。
⑤慣れてきたら、色々な題について、瞬時に、②~④の作業ができるように、そして、プレゼンが2分以内で完結するように練習する。
《例》お題「冬至」…好例ではないかもしれませんが、参考としてご覧ください。
①夜が一番長い日、柚子湯、カピバラ柚子湯、カボチャ、小豆粥、伝統的風習、風邪をひきにくくする、一陽来復、若者は気にしない、スーパーで冬至フェア
②1.夜が一番長い日 2.伝統的風習 3.若者は気にしない
③1.冬至は、1年のうちに夜が一番短い日で、12月22日ごろです。
2.この日は、地方によっても違いますが、色々な伝統的風習がありまう。例えば、身体を温める効果があるとされている柚子湯に入ったり、栄養豊富なカボチャを食べたりです。こうすることで、風邪などひかず、寒い冬を乗り切れると考えられてきました。
3.最近は、あまりこのような風習を気にしない、または知らない若者も増えているように思われれます。残念です。
④冬至の伝統的な風習は趣があるので、後世にも残していけたら良いと思います。
Subject: English:
実用英語技能検定1級合格者、TOEIC840点以上を得た人は、申請により筆記が免除されます。
The result of a first-stage examination is valid for two years.
(It is valid until the next year when you take the test first.)
valid=ばりッドゥ=《形》(切符、方法などが)〔~に〕効力がある、有効期限の切れていない
一次試験の結果は、2年間有効です。
(あなたが最初にテストを受ける年の次の年まで有効です。)
guide interpreter | 通訳案内士 | |||
a first-stage examination | 一次試験 | |||
a second-stage examination | 二次試験 | |||
Japanese geography | 日本地理 | |||
Japanese history | 日本歴史 | |||
general affairs general knowledge |
? | 一般常識 一般知識 |
||
foreign language | 外国語 | |||